8割が導入に賛成!介護ロボットが1家に1台になる日も遠くない!?

介護ロボットの是非~導入のメリットとデメリットは?


団塊の世代すべてが75歳以上となる2025年、そして団塊ジュニア世代が65歳以上となる2035年を境に、日本は深刻な労働力不足が起こると予測されています。さらに出生率の低下による少子化の影響もあり、今後ますますこの問題は深刻化していくでしょう。そんな中、特に大きな問題となっているのが「介護」の現場です。少子高齢化が進む一方、必要とされる人手は増加し続けており、慢性的な人材不足が大きな問題となっているのです。

今はまだ若くても、人は確実に年を重ねます。個人差はありますが、体力も衰え、いつかは介護が必要となるかもしれません。両親はもちろん、自分自身も介護を受ける日がくるとなれば、介護人材の不足は決して他人事ではないのです。

この問題を解決する手段として、今、大きな期待を寄せられているのが介護ロボットです。あまり現実的でないという方がいるかもしれませんが、ロボット技術は日々進歩しています。そう遠くない未来に、一般家庭でも家事支援やペットなど、さまざまなロボットが普及すると言われています。

そこで今回は、人手不足の救世主として期待されている介護ロボットの特徴や、導入におけるメリット・デメリットを考えてみたいと思います。確実にやってくる未来に向けて、しっかりと備えておきましょう。

介護ロボットって何?どんな種類があるの?

いきなり介護ロボットといわれても、どのようなものかまったくイメージできないという方も多いと思います。そう難しく考える必要はなく、その名の通り、介護を支援してくれるロボットのことを指します。ここでは、いくつかのタイプを見ていきたいと思います。

介護支援型

今後、もっとも活躍が期待されているのが介護支援型ロボットです。移動や入浴、排泄といった基本的な介護を支援します。現在、これらの介護は人の手によって行われているものの、相当な重労働であり、介護における「もっとも辛い部分」のひとつになってしまっています。この介護支援型ロボットは、その重労働を大幅に軽減してくれます。

介護は毎日の生活に欠かかせない一方で、人為的なミスによる事故も少なくありません。ロボットによる支援があることで、事故のリスクまで軽減することができ、より安全な介護を実現できるのです。

自立支援型

歩行やリハビリ、食事など、自力で日常生活を送るための支援するのが自立支援型ロボットです。利用者の身体に装着することで運動機能を補助するものや、本人による簡単操作で食事をサポートしてくれるものなど、さまざまなタイプが開発されています。

自分自身で歩ける・食事ができることは、介護者の負担を軽減してくれるだけでなく、精神的負担の軽減や自立への意欲向上にも効果的です。高齢者介護のみでなく、怪我などを原因とする介護・リハビリでも活躍が期待されています。

コミュニケーション・セキュリティ型

精神的なケアや見守りといった役割を担うのが、コミュニケーション・セキュリティ型ロボットです。言語によるコミュニケーションはもちろんのこと、音楽やダンス、体操を中心とするレクリエーションまでできるタイプも開発されています。

見守りに特化した支援ロボットは介護施設のみでなく、一般家庭への普及も始まっています。たとえば、家庭用ロボットとして人気のPepper(ソフトバンク株式会社)もこのコミュニケーション・セキュリティ型ロボットのひとつです。

介護ロボット市場は急成長中!

介護施設ではすでにさまざまな種類の介護ロボットが導入されていますが、一般家庭での導入も少しずつ広まってきているようです。

矢野経済研究所が2016年に行った調査によると、2015年度の国内の介護ロボット市場規模はなんと10億7600万年にも上り、前年度比で549%もの急成長を遂げています。(参考:株式会社矢野経済研究所「介護ロボット市場に関する調査を実施(2016年)」)

さらに、国も介護ロボット普及のための購入補助を開始。主に事業者向けのものですが、助成金として52億円もの予算が確保されています。

正直なところ、介護ロボットによる介護ってアリですか?

介護ロボット市場は年々拡大し続けており、介護現場の人材不足の解消への期待もありますが、だからといって世の中に受け入れられているわけではありません。実際のところ、介護が必要になったからといって、最初から介護ロボットの導入を視野に入れている人は少数派でしょう。

ここでは改めて、介護ロボットは本当に現場で受け入れられるのか、そして今後、本格的に普及が進むのかという点について考えてみたいと思います。

介護職員の3割が介護ロボットの導入に反対している?

まずは、実際に介護の現場で働いている方の意見を見ていきましょう。介護職員を対象としたアンケートによると、実に3割の人が導入に“反対”しています。「労働が軽減されるからロボットは歓迎!」……かと思いきや、現場ならではの否定的な声が少なくありません。

具体的には、

  • ロボットの故障によって事故が起きた場合の責任問題がはっきりしない
  • 耐久性が不安。施設では使用頻度がとても高く、消耗が激しいことからすぐに故障してしまうのでは?
  • ロボットによる介護は味気ない

といった声が聞かれました。

特に「ロボットの故障によって事故が起きた場合の責任問題がはっきりしない」というのはまさしくその通りで、責任の所在がはっきりしないからこそ、むやみに導入できないと考える介護職員が多いようです。(参考:「介護のお仕事」約3割が「反対」、なぜ介護ロボット導入に賛否が分かれるのか。ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施)

約3割が「反対」、なぜ介護ロボット導入に賛否が分かれるのか。ウェルクスが「介護ロボット」に関する調査を実施

そもそも介護ロボットは普及が始まったばかりですので、得られる効果やリスクが未知数なのが正直なところです。つまり、計算上・設計上は問題がなくても、実際に使用する中でトラブルが発生する可能性があるのです。介護は人間の身体、もっといえば命に関わる仕事でもありますので、「ロボットに任せることはできない」という声が聞かれるのも当然といえます。

介護を受ける側の8割が介護ロボットに対して肯定的

介護ロボットの導入を考えるには、介護をする側だけでなく、受ける側の意見にも耳を傾ける必要があります。

2017年にオリックス・リビング株式会社が行った「介護に関する意識調査」によると、介護を受ける側の約8割が介護ロボットに対して肯定的であるという結果が出ています。

その理由として「人の手よりも気を遣わないため」という声がもっとも多く、介護ロボットの導入が受ける側の心理的な負担を軽減する効果があることもわかっています。もちろん否定的な意見もないわけではありませんが、実際に介護を受ける側は、十分に介護ロボット導入による恩恵を感じているようです。(参考:オリックス・リビング株式会社「介護に関する意識調査」)

介護ロボットのレンタル費用を比べてみよう!

介護ロボットを導入することで負担軽減につながるとはいえ、やはりコストの面が不安という方も多いと思います。事実、介護ロボットはまだまだ高額であるため、一個人が購入するのはあまり現実的ではありません。このことから、家庭で導入する場合はレンタルが一般的です。ここではいくつかの介護ロボットをピックアップし、そのレンタル費用を見ていきたいと思います。

サイボーグ型ロボットHAL

自立支援型のサイボーグ型ロボットHALは、介護を受ける側の身体状態に応じてさまざまなタイプがあります。たとえば、片足の機能を補助してくれるタイプだと初期導入費用が400,000円。毎月のレンタル費用は、1年契約の場合で132,000円/月。導入1年目にかかる費用は、合計で1,984,000円となります。

ヒューマノイドロボットPALRO

コミュニケーション・セキュリティ型のヒューマノイドロボットPALROの場合、初期費用として送料が4000円。レンタル費用が30,000円/月です。年間で計算すると724,000円となります。

メンタルコミットロボット パロ

同じくコミュニケーション・セキュリティ型のメンタルコミットロボ パロの場合、費用はリース会社によって異なりますが、平均で15,000円/月。1年間で18,000円ほどになります。上記2つと比べるとリーズナブルな金額で導入できます。

自宅での導入はあり?介護ロボットと自分で介護した場合の費用を比較!

介護ロボットを導入するには、レンタルであっても、それなり費用がかかります。では、自分で介護した場合と比較した場合、どちらが低コストなのでしょうか? ここでは、買い物に2時間、排泄に2時間、入浴に1時間程度で毎日5時間程度を費やすことを想定して考えてみたいと思います。

たとえば、月収30万円で22日出勤だったとすると、時給換算で1,700円となります。これを介護に当てはめると、1,700円×5時間で1日8,500円。1ヶ月(30日)に換算すると255,000円、年間だと3,060,000円にもなります。つまり、自分で介護をした場合には、年間300万円分の収入を得る機会を失っているということになります。

サイボーグ型ロボットHALの年間コストは1,984,000円ですので、1年以上の長期間介護する場合、介護ロボット導入の方がコスト的にお得なのは、一目瞭然です。

もちろん、介護ロボットにはまだまだ未知数な要素が多いため、その働きが費用に見合うかどうかは別問題。多少コストがかかってでも安全性・信頼性を重視したいのであれば自分で行い、少しでも負担を軽減させたいのであれば、介護ロボットの導入を検討してみるのもありです。それだけの価値は十分にあります。

介護ロボットの導入を真剣に考えてみよう

身内の介護は遠い未来のことでもなく、他人に任せておけばいいことでもありません。現状の介護人材不足のことを考えると、真剣にロボットの導入を考える必要があります。ロボットによる介護が当たり前になる、その時がくるまでに、しっかりお金の準備と心の準備をしておきましょう。