終身保険

終身保険における変額保険・積立利率変動型のしくみ

終身保険のインフレリスクという弱点をカバーするために「変額保険」や「積立利率変動型終身保険」という商品が登場しました。これらは世の中の経済状態や金利に合わせて運用を行うため、インフレリスクにも対応が可能です。本記事ではそれぞれの特徴を見ていきましょう。

普通の終身保険は超長期の固定金利

終身保険でよく耳にする予定利率。

これは契約者が払い込んだ保険料のうち、将来の保険金支払いの準備として積み立てる部分を、保険会社が運用する利率です。

普通の終身保険の場合、予定利率は契約当初に設定された利率がずっと続きます。加入当初の経済状況などから、国債の金利などをベースに予定利率は決められますが、その後は景気や金利の変動に左右されません。

たとえば、バブル期には6パーセントもの予定利率がありました(1985年~1990年)。やがてバブルがはじけ、景気が低迷したあとも契約が継続している限り、6パーセントのまま維持されます。

逆に、バブル時代とは打って変わって超低金利の現在、予定利率はだいたい1パーセント前後といったところでしょうか。これは将来、インフレになり金利が上昇したとしても、予定利率が上がることはないのです。

この固定金利、あなたにとってどう影響してくるかわかりますか?

物価が上昇すれば、お金の価値は下がります。ゆくゆくはお葬式代にと思い300万円の終身保険に入ったとして、保険金を受け取るのは40年、50年先の話でしょう。

そのころには、いまの300万円が150万円の価値しかないかもしれません。もちろん、遥か未来の金利はわかりません。ただ、予定利率を固定した終身保険は、インフレにちょっと弱い面を持っているのです。

変額保険とは

そこで、これらの終身保険の弱点をカバーしようと、登場したのが「変額保険」や「積立利率変動型終身保険」です。これらは世の中の経済状態や金利に合わせて運用を行うため、インフレリスクにも対応が可能です。それぞれの特徴を見ていきましょう。

変額保険は、運用実績しだいで保険金や解約返戻金の額が変わります。

普通の終身保険は運用のリスクを保険会社が負っていますが、変額保険は、途中解約や満期時の保険金については、変動リスクを契約者が担うしくみになっています。ですから、株式や債券など運用方法も、複数の投資信託の中から契約者自身が選べるようになっています。

一般的に、予定利率は普通の終身保険より高く設定されていることが特徴です。したがって、運用実績がよければ、受け取る保険金や解約返戻金の額が増えます。反対に運用実績が悪いときは、払い込んだ保険料を下回る可能性もあります。

なお、死亡保険金については、契約時の保険金額が最低保証されているので、運用のリスクは死亡時は負わない設計になっています。運用実績の善し悪しに関わらず、死亡保険金ははじめに決めたとおりの金額で受け取ることができます。

特別勘定と一般勘定の違い

生命保険会社は契約者から預かった毎月の保険料を「特別勘定」「一般勘定」という2種類に分け、それぞれ運用を行います。

「特別勘定」は契約者から集めた保険料を株式や債券などの有価証券で運用し、運用された利益、または損失はすべて契約者に帰属される仕組みです。

「一般勘定」は契約者から預かった保険料を主に生命保険会社が運用し、運用実績良し悪しの責任はすべて保険会社が責任を負う仕組みになっています。また特別勘定と違い、契約時にあらかじめ定められた保険金などを支払う約束をしています。

ここでご紹介する変額保険は「特別勘定」を用いて、運用している生命保険商品です。

変額保険は運用実績に応じて保険金額などが変動するのが特徴で、運用実績が好調であれば受け取る保険金額等が大きくなりますが、一方で世の中の経済影響を受けやすいため運用結果が思わしくなければ小さくなります。

変額保険の種類

変額保険には、

  • 終身タイプの変額保険(終身型)
  • 養老タイプの変額保険(有期型)
  • 変額個人年金保険

3種類があり、それぞれ違った性質を持っています。

終身タイプの変額保険(終身型)

終身タイプの変額保険(終身型)は、一生涯の終身保障があり、運用実績に基づいて毎月保険金額が増減する仕組みです。ただし、解約返戻金には最低保証はなく、死亡・高度障害保険金については、契約時に定めた基本保険金額が保証されます。

また定額の終身保険より安い保険料で持つことができるのがメリットで、万一の場合のお葬式代の確保や遺された家族への保険金として活用することができます。

養老タイプの変額保険(有期型)

養老タイプの変額保険(有期型)は、通常の養老保険と同じで一定の保険期間が定められており、その期間の間に万一のことがあれば死亡保険金が、満期まで生存した場合は満期保険金が受け取れる仕組みです。

終身型と同じく、運用実績次第で毎月の保険金額が増減します。

満期保険金解約返戻金には最低保証はなく、死亡・高度障害保険金については、契約時に定めた基本保険金額が保証されます。通常の養老保険であれば、満期まで生存したときには満期金が支払われますが、この満期保険金額は運用実績に基づき計算された積立額なので、場合によっては満期金が基本保険金額を下回るリスクがあるため注意が必要です。

変額個人年金保険

変額個人年金保険は、主に有価証券を中心に運用する資産運用目的が強い保険です。

運用次第では受取額が増減し、解約返戻金が多くなりますが、一方で運用実績が思わしくない場合は少なくなり、損益がすべて契約者に帰属するという特徴があります。

保険料は一時払いが主流で、年金受け取り直前まで特別勘定で運用され、年金開始後は一般勘定に移行して、基本年金額が確定します。

商品の種類によっては受取総額や年金原資を最低保証しているものもあるため、加入前に何を最低保証しているのかを調べて加入する必要があります。

契約後も経済環境や運用状況を確認しながら、運用するため「投資信託」と似ている部分があると言われていますが、実際には生命保険に加入することによって受けられる『生命保険料控除』による税金対策ができるため、投資信託にはないメリットがあります。

変額個人年金保険の税金の取り扱いは?

変額保険に加入し、一定の保険料を納めた場合は、「一般生命保険控除」が対象となります。

変額個人年金保険には「個人」がついているため、個人年金保険料控除の対象と思われがちですが、正しくは「一般生命保険料控除」が対象のため、保険料控除目的で保険に入ろうとする方は要注意。

また一時払いの変額保険契約については、契約した年のみ控除の対象となります。

変額保険がおすすめな人

変額保険は一般的に解約返戻金や満期保険金額の保証はなく、為替の変動によって損失を被る可能性(ハイリスク)がありますが、安定性がある定額保険より思わぬ利回りが見込めるため、経済状況や運用実績のリスクを背負う分、高い収益を獲得することができます。(ハイリターン)

最近では老後の備えとしてだけでなく、子供の学資保険目的としても高い貯蓄性と生命保険本来の保障性を兼ね備えた変額保険に加入される人も増えてきました。

やはり銀行にお金を預けるだけではお金を効率よく増やしていくことは難しいため、預貯金の一部をこういった保険商品で運用して今後のために備えたいですね。

変額保険のリスクだけに着目するのではなく、理解と知識を得て、お金が増える楽しみを気長に待てる人のほうが変額保険はオススメです。

積立利率変動型終身保険とは

積立利率変動型終身保険は、積立利率(将来のために積み立てている部分の運用利率)を定期的に見直し、変動金利で運用を行います。世の中の金利が上昇すれば積立利率も上がり、保険金や解約返戻金がプラスされていきます。

変額保険との違いは、利率に最低保証があること。仮に最低利率を1.25パーセントと設定しているとしましょう。すると、世の金利がこれを下回ったとしても、1.25パーセントよりは下がらないわけです。残念ながら現状は最低利率が続いているものの、金利が上昇していくとメリットは大きくなります。

ちなみに、「利率変動型積立終身保険」というものがあります。名前は非常に似通っていますが、こちらはアカウント型と呼ばれる保険です。しくみがまったく異なっていますので、間違えないようにしてください。

増えることもあるが減ることもある

現在、日銀は2パーセントの物価上昇を目標に掲げて景気回復に取り組んでいます。なかなか思惑どおりには進んでいないとはいえ、今が金利は底の底と言われる状態ですので、今後は金利も上昇していく傾向にあるだろうと見られています。

そうなると、現時点の利率で長期間固定してしまうより、変動金利を採用した終身保険のほうが有利と思えるのではないでしょうか?同じ終身保険なら、変額保険や積立利率変動型終身保険を選びたいという人もいるでしょう。その選択は間違いではありません。

しかし、「金利が上がったら増える、得をする」といったメリットばかりに気を取られてしまうのは危険です。

リターンには常にリスクがついて回ります。あくまでも運用による結果ですから、増えることもあれば減ることもあるのです。

また、変額保険は死亡保険金の最低保証はありますが、解約返戻金には最低保証がありません。運用が悪かったら死亡保障として持っていればいいと考えている人はリスクがゼロです。

ただ、解約返戻金を当て込んでいる場合は、大きく目減りする恐れがあります。そもそも変動金利タイプの保険は、普通の終身保険よりしくみが複雑にできています。まずはメリットとリスクをきちんと理解することが大切です。
まとめ
終身保険には運用の利率を固定したタイプと変動するタイプがあります。

変額保険は運用実績に応じて、積立利率変動型終身保険は、世の中の金利に合わせて利率が変わります。運用がうまくいけば保険金や解約返戻金が増え、インフレリスクにも対応できる点はメリットです。

ただ、運用実績しだいでは、逆に減る可能性があることも忘れないようにしましょう。

メディケア生命 新メディフットエース
  • この記事を書いた人

矢野 康介

ファイナンシャルプランナー、トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)。大学卒業後、日本生命保険相互会社に新卒入社。法人営業として、一部上場の建築会社及び製薬会社を担当。その後、外資系生命保険会社にて保険事務、コールセンターの統括業務を経験。保険業界での経験は約20年にわたる。コのほけん!の「保険をやさしく、わかりやすく」多くの読者に伝えたい想いに共感しコのほけん!マガジンにて執筆を開始。

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