終身保険

【FP監修】外貨建て終身保険とは?キホン!導入編

生命保険の予定利率は契約当初の景気や金利動向が反映されている

世の中の景気と生命保険、かけ離れた存在に見えて、じつは深く関わっています。

世の中の金利が上がれば予定利率は高くなりますし、金利が下がれば予定利率も下がります。超低金利といわれる現在、大手銀行が扱う1年ものの定期預金金利はおおむね0.01パーセント程度です。まさに雀の涙ですね。

終身保険の予定利率はさすがにそこまで低くはなく、だいたい1パーセント前後となっています。定期預金より遥かに魅力的だとはいえ、この先金利が上がっても予定利率は契約時の水準として約1パーセントのまま据え置かれます。何十年も加入すると考えたら、手放しで喜べるほど高いとはいえないでしょう。

低金利時代のいまは、終身保険の特徴である貯蓄性が発揮しづらい時期なのです。

日銀が打ち出したマイナス金利政策のあおりを受け、円建て終身保険のなかには販売を中止したり、大幅に保険料を上げざるをえない商品もありました。

外貨建ての魅力は運用利回り

円建ての終身保険がこういう状況にあるせいか、最近は外貨建ての終身保険が増えてきました。

外貨建て終身保険は、保険料の運用を外貨で行います。米ドルに限ったもの、あるいは米ドルと豪ドルから選べるものなど、タイプはさまざまです。ただし、同じ商品であっても選ぶ外貨の種類ごとに積立利率など諸条件は違うことがありますので確認しましょう。

なお、運用は外貨で行いますが、保険料の払い込みや保険金の受け取りは日本円でも可能です。

外貨建て終身保険のメリットは、なんといっても円建て終身保険に比べて予定利率(運用利回り)が高めになっていることでしょう。保険には「予定利率(運用利回り)が高い=保険料が安い」「予定利率(運用利回り)が低い=保険料が高い」という法則があります。同じ保障をつけた場合、商品によっては円建て終身保険と外貨建て終身保険で保険料に倍近い差が出ることもあります。

また、保険料の払い込みが終わったあと、解約返戻金が100パーセントを超えるタイミングも外貨建て終身保険のほうが時期が早く到達するようです。

こういった理由から、外貨建て終身保険はコストパフォーマンスがいいともいわれています。

為替リスクってなに?

そもそもが終身保険ですから、運用の善し悪しに関わらず外貨での死亡保険金は保証されています。運用に失敗したからといって、保険金まで減ってしまうことはないのです(なかには減ってしまう商品もありますが)。

しかし、外貨建て保険には外貨建てならではの注意点もあります。特に気をつけたい点は為替リスクです。

保険金はあくまでも外貨ベースでの保証であって、日本円ではありません。これがどう影響してくるのか、具体例で見ていきましょう。

たとえば、1ドル=100円のときに、保険金5万ドルの外貨建て終身保険に入ったとします。保険金を受け取る際は次のような3パターンが考えられます。

具体例

・為替レートが変わらない場合・・・1ドル=100円のまま
100円×5万ドル=日本円にすると500万円

・円安になった・・・例 1ドル=130円になった
130円×5万ドル=日本円にすると650万円

・円高になった・・・例 1ドル=80円になった
80円×5万ドル=日本円にすると400万円

同じ5万ドルでも、円高になっているか円安になっているかで円に換算した金額はずいぶん違います。このように保険金の額は、受け取り時点での為替レートに左右されるのです。もしも加入時より円安になっていれば、払い込んだ保険料を上回る額を手にできるでしょう。反面、大幅に円高が進んでいたら、大きく元本割れをする可能性もあります。

円建てとはしくみが違う

円から外貨に替える・外貨から円に戻す際は、為替手数料がかかります。そのほか、運用や管理の費用、契約期間中の解約に対する解約控除など、さまざまなところでコストが発生します。これらは終身保険だけでなく外貨建ての個人年金保険でも同じことがいえます。

外貨建て保険は円建て保険とは違う面が多々あり、しくみも複雑です。リスクやコストを理解していないと、あとで「まさか、こんなに契約時の試算から減っているなんて!」という事態になりかねません。

実際、外貨建て保険への加入者が増えるのに従って、トラブルも急増しています。生命保険協会の非公表資料によれば、2017年に寄せられた苦情の件数は5年前と比べて3倍に増えているとのこと。

たしかに運用利回りは魅力ですし、資産を分散させる意味でも外貨を持つことは有効です。とはいえ、外貨建て保険は絶対に損をしない保険ではありません。為替リスクやしくみを十分に踏まえて検討しましょう。

今の日本の低金利状態からみると、外貨で運用を行う外貨建て終身保険は、円建ての終身保険に比べて運用利回りがよくなっています。ただし、保険金は受け取る時点での為替レートに大きく影響を受けます。したがって、そのとき円安か円高かによって日本円に替えた金額は変わってくることには十分注意することが必要です。

  • この記事を書いた人

矢野 康介

ファイナンシャルプランナー、トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)。大学卒業後、日本生命保険相互会社に新卒入社。法人営業として、一部上場の建築会社及び製薬会社を担当。その後、外資系生命保険会社にて保険事務、コールセンターの統括業務を経験。保険業界での経験は約20年にわたる。ドーナツの「保険をやさしく、わかりやすく」多くの読者に伝えたい想いに共感しドーナツ・マガジンにて執筆を開始。

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