保険の入り方や選び方は、年齢や性別だけでなく生活状況などによって大きく変わります。誰もが納得する加入の仕方や選び方は、存在しません。そこで今回は、20代の女性において「死亡保険」「医療保険」「がん保険」の入り方や選び方について解説していきます。
20代のうちは「保険って本当に必要なのだろうか」「日々の生活で精一杯」と感じていらっしゃる方も少なくありません。 この記事を読んでいただき、自分にとってどのような保障が必要なのか考えてみましょう。
20代女性の保険の入り方・選び方のポイント
20代の女性が保険を選ぶ時に重視するポイントは、これからご紹介する3つです。
自分に何かあった場合に誰が困るかを考える
保険を選ぶ前に、自分が病気やケガをしたり、万が一のことがあったりした場合に誰が困るのかを考えてみましょう。あなたが配偶者や子供、両親などを養っている状態で入院してしまうと、残された家族は生活できなくなるかもしれません。また、あなたが独身であっても貯蓄が不十分な場合は、病気やケガになったときに入院や手術を受けるお金が捻出できず、自分自身が困ってしまいますよね。
保険に加入する際は「周りが入っているから」「勧められたから」という曖昧な理由で加入するのではなく、いざという時に誰がどのように困るのかを考えた上で加入しましょう。
保険料負担が無理のない範囲で加入する
保険に加入する場合、充実した保障を準備したいと思うかもしれません。しかし忘れてはならないのは、現在の生活が最も大事であるということです。保険料負担が高額で、日々の生活が困窮してしまっては本末転倒でしょう。
よくあるのは、掛け捨ての保険料が嫌だからといって貯蓄も兼ねた保険に加入するケースです。確かに貯蓄を兼ねた保険に加入すると、支払った保険料が戻ってくることがあり、損をした感じる可能性は減るかもしれません。しかし現在は、とても低金利な時代ですので、貯蓄型保険の保険料は値上がりしており、生活を過度に圧迫する可能性があります。限られた収入の中で必要な保障を準備するためには、掛け捨ての保険で保障を準備しましょう。
女性特有の病気にも備える
20代の女性は、乳がんや子宮頸がんなどの女性特有の病気に対する保障を検討しましょう。20代の方ががんに罹患してしまった場合、進行が早く他の年代に比べて完治しにくいという特徴があるからです。
がんが初期の状態で見つかった場合は、早急に治療を開始しなければ、全身に転移する可能性もあります。早期で治療を開始するために必要な資金を確保できない可能性がある場合は、医療保険やがん保険に加入することで、受け取った保険金や給付金を治療費に充てられますね。
20代の女性が優先すべき保険
「死亡保険」「医療保険」「がん保険」を20代の女性にとって優先順位の高い順番に並べると以下の通りです。
- 医療保険
- がん保険
- 死亡保険
このように20代の女性は、自分自身が重い病気になった場合や働けなくなってしまった場合の保障を優先させるのがおすすめです。また、さまざまな病気に幅広く手厚く備えたい場合は「医療保険+がん保険」の組み合わせがおすすめです。一方で、がんになった場合の高額な医療費のみに備えたい場合は「がん保険のみ」に加入すると良いでしょう。
それぞれの加入の仕方について詳しく説明していきます。
医療保険の選び方
医療保険とは病気やケガで入院をしてしまった場合に、保険金や給付金を受け取れる保険のことです。
日本国民は全員、健康保険に加入しており健康保険証を持っています。そして、病院やクリニックなどの医療機関において、支払いの窓口で保険証を提示することで自己負担する金額が医療費の3割になります。
さらに、「高額療養費制度」※1や「傷病手当金」※2も利用することで、病気やケガでの自己負担の増加や収入の現象に備えることが可能です。しかしながら、公的な医療保障を利用したとしても、20代女性が入院した場合の自己負担費用は16.7万円というデータもあります。
※出典 (公財)生命保険文化センター「平成28年度「生活保障に関する調査」
この金額が低いと捉えるか高いと捉えるかは人次第ですので、支払える額なのかどうかを元に医療保険への加入と保障内容を検討してみてください。
※1 高額療養費制度:自己負担の金額が年収によって定められた上限を超えてしまった場合に、超えた部分が払い戻される制度
※2 傷病手当金:病気やケガで休業・休職をした場合に、毎月の給与の2/3の額を最大で1年6ヶ月にわたって受け取れる制度
主契約の選び方
医療保険の主契約は、入院給付金と手術給付金です。
入院給付金は「入院日数×入院給付金日額」で計算されます。入院給付金日額は5,000円でも大丈夫ですが、10,000円あると安心。入院すると、差額ベッド代や食事代、交通費などさまざまな出費が発生し、高額になる場合があるからです。また、1回の入院あたりの給付の限度日数も重要です。最近は入院日数が短くなっているため60日でも十分ですが、120日あると安心できます。三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)やなど重い病気で給付日数が無制限になるものもあり、より保障を手厚くすることが可能です。
特約の選び方
医療保険には様々な特約を付加できます。
代表的なのは、がんになった場合に一時金を受け取れるがん特約です。付加することでがんに対する保障を手厚くできますが、がん保険と保障内容が被る可能性があります。さらに、医療保険を解約するとがん保障もなくなってしまう点に注意が必要です。
そして、先進医療特約を付加するのもおすすめ。特定の先進医療を受けた場合に発生する自己負担を、カバーしてくれる特約です。先進医療で発生した医療費は全額自己負担。場合によっては、数百万円単位の自己負担が発生する可能性があるため、先進医療特約をつけることで医療費が高額になっても貯蓄を切り崩さなくて済みます。
がん保険の選び方
がん保険とは、生まれて初めてのがん(悪性新生物)に罹患した場合や、がんによる入院や手術、通院、特定の治療を受けることで、保険金や給付金を受け取れる保険です。一口にがん保険と言っても、主契約の保障内容や付加できる特約は、保険会社によって大きな差があります。
ご自身が、どのようながん保険に加入したいかを考えた上で選びましょう。
主契約の選び方
がん保険の主契約には以下のような種類があります。
● 診断一時金(診断給付金):がんと診断された場合にまとまった保険金を受け取れる保障
● がん入院給付金:がんによって入院した場合や手術を受けた場合の保障
● がん治療給付金:放射線治療やホルモン治療など特定の治療を受けた場合の保障
例えば、医療保険とセットで加入し、すでに入院保障が手厚い場合は、治療給付金や診断一時金が受け取れるタイプに加入することで、バランスよく備えることが可能です。また、医療保険に加入していない場合は、入院給付金を受け取れるタイプのがん保険に加入するという方法があります。がん以外での入院では保険金を受け取れなくなりますが、保険料を低く抑えて、がんによる高額な治療費が発生するリスクに備えることが可能です。
そして、主契約を選ぶ際の注意点は、上皮内がんの保障がでるかどうかを確認すること。上皮内がんとは、上皮組織内にできた初期のがんで、がん保険でも給付の対象外の場合があります。
一方で、子宮頸がんの6割が上皮内がんと言われています。さらに20代の場合はがんの進行が早いため、早期に治療をして病変を取り除かなければ、取り返しのつかないことになりかねません。上皮内がんも保障の対象であるがん保険に加入することで、金銭面で苦労することなく早急に治療を開始できるでしょう。
特約の選び方
がん保険の特約の中でも、働けなくなった場合の保障である就業不能保障特約をつけると安心です。がんの治療は退院後も通院が続くことがあり、すぐに復職できるわけではありません。就業不能保障特約を付けることで、通院期間中に復職できなかったとしても、毎月一定額の保険金を受け取って生活することができます。
死亡保険の選び方
20代の女性にとって、死亡保険は最も優先順位が低い保険となります。
ただし全く必要が無いわけではありません。配偶者や子供などの家族の生活が、あなたの収入によって支えられている場合は、死亡保障が必要でしょう。その場合の保障額は、子供が独立するまでの生活費を目安に、残された家族に支給される「遺族年金」がいくらもらえるのかも確認した上で、保障を準備しましょう。
※1 遺族年金:国民年金や厚生年金に加入している人が亡くなった場合、残された家族に毎月一定額の年金が支給される制度
まとめ
今回は、20代の女性が保険に加入する時に検討すべき優先順位を解説しました。
ご自身が一家の大黒柱でない限りは、医療保険やがん保険など自分自身が病気になってしまった時の保障を優先させましょう。一方で、医療保険やがん保険にも様々な種類があることはお伝えした通りです。ご自身だけで選びきれない時は、お近くのファイナンシャルプランナーに相談してみてください。現在のファイナンシャルプランナーは、保険を押し売りすることはなく、生活背景や家族形態などあなたの状況に合ったプランを提案してくれます。