生命保険

低解約返戻金型と無解約返戻金型の生命保険について【FP監修】

生命保険は、名前に漢字が多くて違いが分かりづらいですよね。

特に保険の名称に「低解約返戻金型」と「無解約返戻金型」と付いているものを見かけた方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、低解約返戻金型と無解約返戻金型の違いについて解説していきます。

この記事は以下のような方におすすめです。

こんな方におすすめ

  • 低解約返戻金型と無解約返戻金型は何が違うの?
  • そもそも解約返戻金って何?

ぜひご一読ください。

解約返戻金とは

解約返戻金とは、生命保険の契約を解約した場合に受け取れるお金のこと。

保険会社によっては払戻金と呼ばれることもあります。

保険に加入している期間が長いほど、解約返戻金の額も大きくなる傾向にあります。

なぜなら解約返戻金は、顧客が支払った保険料の一部の積立部分(責任準備金)が戻ってくる仕組みだからです。

さらに、解約返戻金の額は、責任準備金から解約控除というペナルティが差し引かれるため、支払った保険料の総額よりも少なくなることがあります。

解約返戻率とは

解約返戻率とは、受け取った解約返戻金の総額と支払った保険料の割合のこと。

保険会社によっては「返戻率」「払戻率」「受取率」など呼び方が違います。

解約返戻率を計算式で表すと以下の通りです。

解約返戻率 = 解約返戻金の額  ÷  払込保険料総額 × 100

例えば、解約返戻金の額が150万円、払込保険料総額が140万円の場合、解約返戻率は約107.1%となります。

また、解約返戻率が100%未満の場合を「元本割れ」といい、「払ってきたお金」よりも「戻ってきたお金」の方が少なかったことを意味します。

解約返戻率は、保険の種類や保険料を払い込んだ期間、保険を契約した期間などによって変動する仕組み。

貯蓄と保障の2つの機能を持った貯蓄性保険でも、保険を契約してから早い時期に解約すると、高い確率で元本割れを起こします。

解約返戻金や解約返戻率の確認方法

解約返戻金や解約返戻率を確認する方法は以下の3つの方法があります。

  1. 契約時の設計書(提案書)や保険証券を見る
  2. 保険会社の営業担当者やコールセンターに連絡する
  3. 契約者専用ページを参照する

できるだけ2や3の方法で確認するのがおすすめです。

設計書や保険証券に記載されている解約返戻金や解約返戻率には配当金※1が加味されておらず、正確な金額が記載されていないからです。

ただし、保険商品によっては配当金や解約返戻金自体がないものもあります。

※1 配当金とは保険会社が想定よりも多くの利益を出した場合に契約者に還元されるお金

低解約返戻金型とは

低解約返戻金型の保険とは、解約返戻金の額を少なくすることで保険料負担を低くしている保険のことです。

低解約返戻金型の保険の解約返戻金は、従来の70%程度におさえられています。

また、低解約返戻金型の保険は、終身保険といった貯蓄性の保険に採用されていることが多いのが特徴です。

低解約返戻金型の保険商品について

低解約返戻金型の保険商品は、以下の2つが代表的です。

  • 低解約返戻金型終身保険
  • 低解約返戻金型定期保険

それぞれの保険の特徴について、詳しく解説していきます。

低解約返戻金型終身保険

終身保険とは、一生涯の死亡保障が得られる保険です。

低解約返戻金型終身保険は、保険料の払い込み期間中の解約返戻金が少なくなる仕組み。

保険料の払い込み期間が終わると、解約返戻金の額は従来の終身保険の水準に戻ります。

例えば30歳の方が、保険料払い込み期間が60歳までの低解約返戻金型終身保険に加入した場合、60歳までに解約した場合は元本割れを起こします。

しかし、60歳を超えてから解約すると解約返戻率が100%を超えます。

このような仕組みの低解約返戻金型終身保険ですが、以下のように幅広い状況で用いられます。

  • 老後資金の準備
  • 死後の整理資金
  • 相続対策
  • 子供の教育資金

解約返戻率が100%を超えてから解約することで、老後の生活資金として使えます。

仮に解約せずに保障を残して保険の対象となる人が死亡した場合、葬儀費用や遺品の整理などの資金として遺族に残して挙げられますね。

また、低解約返戻金型終身保険の死亡保険金は、相続税を計算するときに生命保険の非課税枠が使えます。

そのため、資産の一部を使って低解約返戻金型終身保険に加入しておくことで、死後に遺族が支払う相続税の額を軽減できる効果があります。

さらに、低解約返戻金型終身保険の保険料払い込み期間を、子供が大学に進学する年齢に合わせることで、受け取った解約返戻金をお子さんの進学資金として活用することも可能。

このように、低解約返戻金型終身保険にはさまざまな使い道があります。

ただし、現在の低金利の状況で加入すると、長期間にわたって低金利が固定されてしまうため、インフレリスク※2 には注意が必要です。

※2 インフレリスクとは、現在の物価よりも将来の物価が上がることで、将来受け取る保険金の価値が目減りしてしまうリスクのこと。

低解約返戻金型定期保険

定期保険とは、一般的に保障期間中に保険の対象となる人が亡くなった場合に保険金が支払われる保険のこと。

低解約返戻金型定期保険では、契約してから一定期間までの解約返戻金が少なくなります。

その後、解約返戻金は従来の水準に戻りますが、保険料は引き続き支払いが必要です。

また、低解約返戻金型定期保険は、主に法人の税金対策や役員・従業員の死亡退職金の確保などを目的として加入することがあります。

低解約返戻金型定期保険での死亡保険金を死亡退職金として、低解約返戻金期間が終わった後の解約返戻金で定年や勇退した場合の「退職金」として支払われるケースが多いです。

低解約返戻金型の注意点

低解約返戻金型の保険の注意点は以下の2つです。

ココが注意点

見直しがしづらい
契約者貸付で借りられる金額が少ない

解約返戻金の額が少ないうちは、保険を解約する元本割れが起きるため、他の保険への見直しや乗り換えがしづらい点に注意が必要です。

現在は低金利の時代ですので、今後金利が上昇してより魅力的な商品が出た場合に「あの保険に乗り換えたけど、いま解約する大きく元本割れする」という事態になる可能性があります。

また、低解約返戻金型の保険は、解約返戻金の額が少ないため、契約者貸付で利用できる金額が少ないです。

契約者貸付とは、保険の契約者が解約返戻金の範囲内で保険会社からお金を借りられる制度。

消費者金融に比べて低い金利でお金を借りられます。

しかし、低解約返戻金型の保険では借りられる金額が少ないため、まとまったお金が必要なときに必要な分だけお金を借りられない点に注意しましょう。

無解約返戻金型とは

無解約返戻金型保険とは、解約返戻金がまったくないタイプの保険のこと。

いつ解約しても解約返戻金を受け取れず、受け取れてもごくわずかな場合がほとんどで「掛け捨て」とも言われています。

無解約返戻金型は、低解約返戻金型と違って、保障性の保険に採用されている場合が多いです。

無解約返戻金型の保険商品について

無解約返戻金型は、以下のように幅広い種類の保険に採用されています。

  • 終身医療保険
  • 終身がん保険
  • 収入保障保険
  • 無解約返戻金型定期保険

上記の保険の中でも、保険期間中の保険料負担が変わらないタイプの保険や、生涯にわたって一定の保険料を支払い続けるタイプの保険は、無解約返戻金型である場合が多いです。

終身医療保険・終身がん保険

終身医療保険は、病気やケガで入院や手術をした場合に、保険金や給付金を受け取れる保険。

そして終身がん保険は、生まれて初めてのがんと診断された場合や、がんによる入院や手術、所定の治療などを受けた場合に保険金や給付金を受け取れる保険です。

終身医療保険や終身がん保険は、契約時から生涯もしくは保険料の払い込みが終わるまで保険料負担が変わりません。

収入保障保険

収入保障保険は死亡保障です。

保険の対象となる人が亡くなった場合、保険金を受け取る人に対して毎月一定額の保険金が、保険期間の満了まで支払われます。

一定の収入以下の配偶者や小さいお子さんがいるご家庭の世帯主の方が加入するケースが多い保険ですね。

無解約返戻金型定期保険

無解約返戻金型定期保険は、解約返戻金がまったくないため、低い保険料負担で高額な死亡保障が得られます。

無解約返戻金型定期保険は、外資系生命保険会社や、損保系の生命保険会社などで個人の顧客向けに販売されています。

また、低解約返戻金型と同様に法人向けの商品を販売している保険会社もありますね。

無解約返戻金型の注意点

無解約返戻金型の注意点は以下の2つです。

ココが注意点

解約返戻金や満期保険金を受け取れない

契約者貸付や自動振替貸付が利用できない

無解約返戻金型の保険は、途中で解約した場合の解約返戻金や保険期間が満了した場合の満期保険金がありません。

契約時は解約返戻金や満期保険金がないことを理解していても、実際に解約したり保険期間が満了したりすると、損をしたと感じる方もいらっしゃるでしょう。

また、無解約返戻金型では契約者貸付が利用できないため、まとまったお金が必要になったときに低金利でお金を借りられません。

加えて、自動振替貸付も利用できないため、保険料が未払いとなった場合に契約が失効して、保障の効力が無くなってしまう可能性がある点に注意しましょう。

※3 自動振替貸付とは、契約者から保険料が支払われない場合に、保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を立て替えてくれる仕組み

「低解約返戻金型」と「無解約返戻金型」の保険料はどう違うのか?

低解約返戻金型と無解約返戻金型の保険料は、同じ種類の保険で比較した場合、基本的には無解約返戻金型の方が安くなります。

保険料は、簡単にいうと以下のような内訳です。

  • 保険金や給付金の支払いに充てられる部分
  • 解約返戻金などの積み立てに充てられる部分
  • 保険会社の人件費や広告費などの経費に充てられる部分

低解約返戻金型の保険では2の部分がありますが、無解約返戻金型ではほぼないため保険料が安くなります。

ただし、保険会社によって1や3の部分が大きく異なるだけでなく、低解約返戻金型と無解約返戻金型では、仕組みを採用している保険の種類が違うため一概には比較できません。

まとめ

低解約返戻金型と無解約返戻金型の違いは、保険を解約した場合の解約返戻金が少ないか、まったくないかの違いのみです。

一方で、低解約返戻金型と無解約返戻金型では、採用されている保険の種類が異なります。

低解約返戻金型は終身保険などの貯蓄性保険、無解約返戻金型は死亡保険や医療保険などの保障性保険で採用されていることが多いです。

解約した場合に戻ってくるお金が少なかったり全くなかったりすると、あまり良い印象を抱かない方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、保険選びにおいて大事なことは解約返戻金ではなく、あなたの状況に合った保障を選んでリスクに備えることです。

低解約返戻金型の保険や無解約返戻金型の保険を選ぶことで、日々の家計を圧迫することなく必要な保障を得られる可能性が高まるため、積極的に選択肢に加えていきましょう。

  • この記事を書いた人

品木 彰

ファイナンシャルプランナー、FP技能士2級、保険・金融ライター。国公立大学卒業後、明治安田生命保険相互会社に新卒入社。法人営業として官公庁向けの団体保険・個人営業を担当。チームリーダーや管理職候補など7年半勤務。その後、人材会社に転じ多くの転職をサポート。現在は、保険、税金、貯蓄術、不動産など幅広いジャンルの記事を執筆するファイナンシャルプランナー。

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