生命保険

法人保険の保険料の決め方とは?保険の種類別に解説

法人保険の保険料は、経理状況に照らして適正か、払い続けられるか、といったことの他、税務処理についても意識しつつ決める必要があります。そうすることで、法人保険のメリットがより大きなものになるからです。この記事では、法人保険の保険料の決め方について詳しく解説します。

法人保険の保険料を決める際の基本的な考え方

これは法人保険に限ったことではありませんが、保険料は払込期間中、約定の金額を毎年払い続けなければなりません。そのため保険料を決めるにあたっては、最低限以下の2点を意識する必要があります。
・検討している保険料は会社の経理状況に照らして適正か
・払込期間中、その保険料を無理なく支払続けることができるのか

税務処理にも意識を向けて保険料を決める

法人保険と個人加入の生命保険とで大きく異なるのが、保険料を損金処理できるかどうか、という点です。法人が負担する保険料を損金処理できるというのは法人保険がもつ大きな魅力のひとつですので、保険料を決める際は保険料の税務処理にも意識を向ける必要があるでしょう。

法人が加入する定期保険の保険料の決め方

法人が負担した保険料の税務処理方法は、保険の種類によって異なります。例えば定期保険の場合、最高解約返還率によって以下のように処理されます。

最高解約返還率 期間区分 保険料の経理処理
50%以下 全保険期間 払込保険料の全額を、原則、期間経過に応じて損金算入。
50%超70%以下 ① 契約~保険期間の4割相当期間

② ① の期間経過後~保険期間の7割5分相当期間まで

③ ② の期間経過後~保険期間満了まで

① 払込保険料の4割を資産計上、残りを期間の経過に応じて損金算入。

② 払込保険料の全額を、期間の経過に応じて損金算入。

③ 払込保険料の全額を、期間の経過に応じて損金算入。① の期間中に資産計上した累積額を③ の期間で案分して損金算入

70%超85%以下 ① 契約~保険期間の4割相当期間

② ① の期間経過後~保険期間の7割5分相当期間まで

③ ② の期間経過後~保険期間満了まで

① 払込保険料の6割を資産計上、残りを期間の経過に応じて損金算入。

② 払込保険料の全額を、期間の経過に応じて損金算入。

③ 払込保険料の全額を、期間の経過に応じて損金算入。① の期間中に資産計上した累積額を③ の期間で案分して損金算入。

85%超 ① 契約~以下のうち遅い方の保険年度

・最高解約返還率になる保険年度

・(解約返戻金額の年間増加額 ÷ 年間保険料)>70%となる最も遅い保険年度

② ① の期間経過後~解約返戻金額が最高となる最も遅い保険年度

③ ② の期間経過後~保険期間満了

① 契約当初10年間は、【払込保険料 × 最高解約返還率 × 0.9】を資産計上、残りを損金算入。

11年目以降は、【払込保険料 × 最高解約返還率 × 0.7】を資産計上、残りを損金算入。

② 払込保険料の全額を損金算入。

③ 払込保険料の全額を損金算入。① の期間で資産計上した積立額を③ の期間で案分して損金算入。

このように定期保険は、最高解約返還率の区分によって損金算入できる割合が大きく変わってきます。そのため保険料を決める際は、法人税対策のためなのか資産形成のためなのか、保険に加入する目的に着目する必要があります。

法人税対策のために最高解約返還率50%以下の定期保険に加入する場合、まずは希望する保障内容で保険料を算出し、損金算入したい額と乖離している場合はそこから調整していくといいでしょう。これに対して資産形成のため解約返還率の高い定期保険に加入する場合は、これがピークに達するまで無理なく払い続けられる保険料を設定する必要があります。解約返還率がピークに達する前に保険料の支払いが困難になり解約を余儀なくされるのでは、資産形成の目的を果たせないからです。

法人が加入する医療保険・がん保険の保険料の決め方

法人が医療保険やがん保険といった、いわゆる「第三分野保険」に加入した場合、負担した保険料の税務処理は、原則、定期保険に加入した場合に負担した保険料の税務処理方法と同じです。ただし、2019年10月8日以降に加入した第三分野保険が以下の条件を満たす場合、次のような税務処理をしなければなりません。

① 保険期間が「終身」である
② 有期払である

期間の区分 保険料の経理処理
① 契約から払込満了まで 契約~払込満了までの払込保険料累計額を、契約時の被保険者年齢から116歳に達するまでの期間で除して、1年あたりの保険料を算出。

算出した1年あたりの保険料を損金算入し、残りを資産計上する。

② 満了後 ① の期間で資産計上した額から1年あたりの保険料を取り崩し、損金算入する。

ただし例外として、生命保険会社や加入時期の違いにかかわらず、1被保険者あたりの年間保険料が30万円以下である場合は、払込保険料の全額を損金算入することが認められています。

1被保険者あたりの年間保険料30万円がポイント

医療保険やがん保険といった第三分野保険に、法人税対策を目的として加入する場合、1被保険者あたりの年間保険料は30万円以下に調整することをおすすめします。そうすることで、払込保険料の全額を損金算入することができるからです。

1被保険者あたりの払込保険料が30万円以下であるかどうかは、2019年10月8日以降に加入した終身型かつ有期払の第三分野保険を合算して判断されます。例えば、役員のAさんを被保険者としてX社で年間保険料20万円の医療保険に、Y社で年間保険料15万円のがん保険に加入している場合、税務処理上の年間払込保険料は35万円となり、保険料の一部しか損金処理できなくなってしまうのです。

法人が加入する養老保険の保険料の決め方

法人が養老保険に加入した場合、負担した保険料は契約内容によって以下のように扱われます。

  契約者 被保険者 死亡保険金受取人 生存保険金受取人 保険料の経理処理
Aプラン 法人 役員・従業員 法人 法人 払込保険料の全額を資産計上
Bプラン 法人 役員・従業員 被保険者の遺族 被保険者の遺族 払込保険料は役員・従業員の給与として処理
Cプラン 法人 役員・従業員 被保険者の遺族 法人 払込保険料のうち1/2を資産計上、残り1/2を損金処理

「ハーフタックスプラン」や「福利厚生プラン」と呼ばれる上表のCプランの契約形態で加入する場合は、退職金の積立ての他、法人税対策効果も期待できます。そのため保険料を決める際は、毎年損金処理したい額はどのくらいなのか、という点も意識する必要があります。

上表Aプランの契約形態で加入する場合は会社の経理状況に照らし、無理なく払い続けられる保険料を設定しましょう。また、Bプランの契約形態で加入する場合は被保険者である役員・従業員の所得に大きく影響してきますので、両者で保険料についてすり合わせをする必要があります。

まとめ

ココがポイント

法人保険の保険料は経理状況と税務処理に着目して決める

法人保険に加入して負担した保険料の税務処理は、保険の種類や最高解約返還率によって異なります。そのため保険料を決める際は会社の経理状況だけでなく、払込保険料に関してどのような経理処理をする必要があるのか、という点についても意識を向けることが大切です。

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  • この記事を書いた人

曽我部 三代

FP技能士2級。長年にわたり損害保険・生命保険の代理店経営に携わり、コンサルティングや保険事務を通じた家計・保険全般の知識を習得。金融関連の執筆活動も行うファイナンシャルプランナー。

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