生命保険

法人保険の加入の目的とは?4つの活用方法について解説

法人保険には、商品の種類や保障内容によって、法人税対策や事業保障、退職金の準備など様々な活用方法があります。この記事では、法人保険に加入する目的にはどのようなものがあるのか、どのような活用方法があるのか、という点について詳しく解説します。

法人保険を活用した課税の繰り延べによる法人税対策

法人保険に加入する目的の中で最もポピュラーなものが、「法人税対策」です。では、どうして法人保険に加入することが、法人税対策につながるのでしょうか。

法人の所得に対しては、23.2%の法人税が課せられます 。そして課税対象となる法人の所得は、「当該事業年度の益金の額 - 当該事業年度の損金の額」によって算出されます。そうすると、法人税対策の方法としては、以下の2つの選択肢が考えられます。

① 益金の額を減らす
② 損金の額を増やす

売上げを自由に操作するのは困難ですから、法人税対策においては「損金の額を増やす」方法を検討する必要があるでしょう。

保険料負担により損金の額を増やす

損金の額を増やす方法としては、決算前に備品をまとめて購入する、事務所等の家賃を前払いする、社員旅行に行く、車など減価償却資産を購入する、というように様々な選択肢があります。ただ、商品の購入費用や社員旅行の費用は返ってきませんし、減価償却資産の購入や家賃の前払いに関しても、さほど大きな節税効果を得られない場合があります。

そこで検討したいのが、法人保険を活用する、という方法です。法人保険は商品の種類にもよりますが、負担した保険料の全部または一部を、損金処理することが認められています。

養老保険を、例に挙げてみましょう。契約者を法人、被保険者を従業員、満期保険金の受取人を法人、死亡保険金の受取人を被保険者(従業員)の遺族とする、いわゆる「福利厚生プラン」は、支払った保険料の半額を損金算入できます。仮に、A法人が従業員20人につきそれぞれ年払100万円の養老保険(福利厚生プラン)に加入した場合、負担する保険料2,000万円のうち半額の1,000万円を、損金算入できることになります。つまりこの方法によりA法人は、課税対象となる所得を1,000万円減らすことができるのです。

このように法人保険を活用すると、負担保険料を損金算入して所得を減らすことで、効果的な法人税対策をすることができるのです。

「出口」を慎重に判断することでより効果的な法人税対策を

法人保険に加入すると、負担した保険料の全部または一部を損金算入することができます。この「入口」の部分だけを見ると法人保険には大きな節税効果があるように思えるのですが、これはあくまで、課税の繰り延べにすぎません。

法人が保険金や解約返戻金を受け取った場合、それはその年の益金に算入され、課税対象となります。つまり法人保険を活用した法人税対策は、払うべき法人税を先延ばしにする、課税の繰り延べに過ぎないのです。

もちろん、受け取った保険金や解約返戻金を原資に退職金や見舞金を支払った場合はその分を損金算入できますし、赤字の事業年度であれば受け取った保険金全額に課税されるわけではありません。

つまり法人保険は「入口」の部分だけでなく、どのタイミングで解約をするのか、受け取った保険金を何に使うのか、といった「出口」の部分についても慎重に判断することで、より効果的な法人税対策ができるのです。

法人保険は事業保障・事業承継対策にも活用できる

法人、特に売上げの多くが経営者の手腕や人脈に依拠している中小企業の場合、経営者に万一のことが起こると、信用が落ちて売上げが大きく減少するリスクがあります。また、赤字状態が続くと借入金の返済が滞ったり、銀行から融資を受けられず事業資金を工面できなかったり、といった事態に陥る可能性もあるでしょう。

法人保険を活用して事業保障を確保する

法人保険を活用すると、法人が抱える様々な経営リスクをカバーすることができます。

例えば、契約者を法人、被保険者を経営者とする、保険金額1億円の定期保険に加入していると仮定しましょう。法人保険の保険金受取人は法人ですので、経営者に万一のことがあった場合、法人に保険金1億円が給付されます。法人はこの保険金を赤字の穴埋めに充てたり、経営者の死亡退職金の支払いに充てたり、当面の事業資金に充てたりすることができるのです。

また解約返戻金のある法人保険に加入している場合、赤字年度にこれを解約し、解約返戻金を活用して赤字状態を解消することも可能です。建設業など業種によっては一過性の赤字であっても入札に参加できないなど不利な扱いを受けることがあるため、法人保険を活用して経営リスクに備えておくことは、法人にとって非常に重要であるといえるでしょう。

法人保険を活用して円滑な事業承継を実現

経営者に万一のことがあり、事業承継をする場合、自社株式を後継者に移転させる必要があります。自社株式を移転させるには、現金での購入や贈与、遺贈、相続、というようにいくつかの方法がありますが、現金で購入する場合はまとまった資金が必要になりますし、贈与や遺贈、相続による場合も税金がかかります。

この点、前述のような経営者の万一に備えた法人保険に加入していれば、事業承継に伴う株式移転にかかる費用を節約したり、捻出したりすることが可能です。

売買や贈与による株式移転を行う場合、法人保険に加入して保険料を負担することで会社の純資産を一時的に減少させ、株式の評価を下げることができるでしょう。また、遺贈や相続によって株式を移転する場合、給付された保険金を原資に後継者である経営者の遺族に死亡退職金を支給し、これを相続税の支払いに充てることも可能です。

法人保険を活用して退職金の準備をする

法人保険は、役員や従業員の退職金を準備するための、資産形成手段としても活用できます。

税務上、経営者や役員の退職金として損金算入することが認められる額は、「退職時役員報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率」という計算式によって求められます。 例えば、退職時の役員報酬月額が100万円、役員在任年数が20年の役員が退職する場合、「100万円 × 20年間 × 功績倍率によって算出される金額を、退職金として支給できることになるのです。

貯蓄性の高い法人保険で退職金支給に備えた資産形成を

経営者や役員に十分な退職金を支給するには、それに備え法人として十分な資産を形成しておく必要があります。

もちろん、資産形成の方法にはいくつかの選択肢がありますが、法人保険を活用する場合、払込保険料の一部を損金計上できるうえ、保険期間中は約定の保障を受けられます。こういった点において法人保険の活用は、退職金の準備をする手段として非常に魅力的な方法であるといえるでしょう。

福利厚生を図る手段としても活用できる法人保険

法人保険は、従業員の福利厚生を図る手段としても活用することができます。養老保険を活用して退職金の準備をしたり、医療保険を活用して見舞金等の支給に備えたりするのです。

退職金は従業員にとって老後の生活資金となるものですので、従業員としては老後の不安が和らぎ、安心して職務に専念できるでしょう。また、従業員を被保険者とする医療保険に加入することは、従業員の健康管理に役立ちますし、こういった福利厚生制度が整っている会社は従業員にとっても働きやすい環境であるといえます。

まとめ

ココがポイント

加入目的に合わせた商品選びを

以上のように法人保険には、加入目的によって様々な活用方法があります。法人保険をどう活用するのか、どのような保障が必要なのか、ということは法人ごとに異なりますので、先ずは自社が抱えるリスクやそれをカバーするために必要な手段について、整理してみることが大切です。

メディケア生命 新メディフットエース
  • この記事を書いた人

曽我部 三代

FP技能士2級。長年にわたり損害保険・生命保険の代理店経営に携わり、コンサルティングや保険事務を通じた家計・保険全般の知識を習得。金融関連の執筆活動も行うファイナンシャルプランナー。

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