収入保障保険

【FP監修】収入保障保険のメリット・デメリット

収入保障保険と定期保険の違い

ある時期だけ大きな死亡保障がほしいとき、定期保険と収入保障保険はたいへん役に立ちます。保険期間を限定する、掛け捨てであるなど、両者は似通っている点が多々あります。では、いったいどこが違うのでしょう。それは保障の形です。

たとえば、加入した時点では定期保険も収入保障保険も3000万円の保障があるとします。
定期保険は保険期間の間なら、いつ亡くなっても同じ3000万円が支払われます。つまり、縦軸を保障額、横軸を期間にすると、定期保険の保障は長方形になります。

これに対して、収入保障保険だと加入当初は保障額合計が3000万円でも、年数を経るにしたがってだんだん受け取れる金額が減っていきます。そのため、保障の形は右肩下がりの三角形になるわけです。

この違いは保険料にも反映されています。同じ保障金額をつけた場合、収入保障保険のほうが保険料はぐっと安くなります。年齢が上がるほど死亡するリスクは高まり、保険金を払う確率も上がります。定期保険はリスクが高まっても、同じ保障を用意しなければなりません。しかし、収入保障保険はリスクが高まるにつれ、保障が小さくなっていきます。長方形と右肩下がりの三角形を見比べれば、三角形のほうは上部に余白ができます。ここの保障を用意しなくていい分、保険料が割安になっているのです。

子育て世帯にはうってつけ

「死亡リスクは右肩上がりなのに、保障が右肩下がりじゃ困る!」と思いますか。

いいえ。とくに子育て世代にとって、この形はとても合理的にできています。

子どものためにと考えるなら、だいたい大学を卒業するあたりまでを目安にするパターンも多いでしょう。順調にいけば22歳で卒業です。

もしも子どもが3歳のときに死亡すれば、まだ19年も残っていますから多額のお金が必要になります。しかし、20歳のときに亡くなったなら、子供が自立するまでの残り2年分の備えがあればなんとかなると考えられるのではないでしょうか。

こんなふうに、子どもが成長するにつれ、必要保障額は減らしていくことができます。収入保障保険のしくみが理にかなっていると、納得していただけたのではないでしょうか。

保険は節目ごとに見直しをしたほうがいいといわれますが、収入保障保険はほうっておいても子どもの成長に合わせて必要保障額が減るしくみになっています。ですから、見直しをする手間も省けます。

保障を手厚くしたいなら

もっとも、子どもが増えたら、やはり見直しは必要です。

長男の誕生と同時に収入保障保険に入った。その5年後に次男が生まれたーー。こうなると、いまの保障では足りません。保障も2人分に増やすことを考えたいものです。

すでに加入中の収入保障保険を増額する方法もありますが、ベストなやり方とはいえません。それは保障額は増やせても、保険期間は延ばせないからです。長男に合わせて設定した保険期間だと、次男には短すぎるでしょう。

ここは2段構えの備えを検討してみましょう。次男用として、新たな収入保障保険をプラスするのです。これなら次男の年齢にきっちり合わせられますから、独立する前に保障が切れる心配がなくなります。

また、保障を手厚くしたい場合は、定期保険との合わせ技もあります。「収入保障保険は日々の生活費に充て、大学入学など一時的にかかる大きな費用は定期保険で」といった具合に、目的に応じて使い分ける方法も効果的です。収入保障保険、定期保険それぞれのメリットを活かし、賢く組み合わせましょう。

メリットがデメリットにも…

ところで、収入保障保険にデメリットはないのでしょうか。実は、ライフプランに添った設計になっているというメリットこそが、デメリットになりうるケースがあるのです。

たとえば、保険期間の満了まであと10年というところで、回復が難しいような重い病気にかかった場合。

家族は少しでも長生きしてほしいと願うでしょうし、本人だってそう望むはずです。ところが、長生きすればするほど、受け取れる保険金が少なくなってしまいます。年々、先細りしていく保障を心許なく感じますよね。

ただ、こういうデメリットを克服する収入保障保険も存在します。中には、途中で一定条件のもとで定期保険や終身保険に変換できる制度があるものもあります保険金は変更する時点での保障額がマックスで、上乗せはできません。ただし、変換する時点の年齢で保険料が再計算され、保険料が上がったり、健康状態によっては変換できない場合もあります。それでも、保障額が目減りしていくのを食い止められれば、安心感はだいぶ違うでしょう。細かい規定は保険会社ごとに異なるものの、保険期間が2年以上残っていることが変更の条件となっています。

まとめ

定期保険は保険期間中ずっと同じ保障額が続きますが、収入保障保険は保障額合計が右肩下がりに保障が小さくなっていきます。とはいえ、子どもにかかる必要保障額は年齢を追うごとに少なくなりますから、子育て世代には合理的な設計だといえます。保障を手厚くしたいときには、収入保障保険の2階建てや、定期保険との組み合わせも有効です。

  • この記事を書いた人

矢野 康介

ファイナンシャルプランナー、トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)。大学卒業後、日本生命保険相互会社に新卒入社。法人営業として、一部上場の建築会社及び製薬会社を担当。その後、外資系生命保険会社にて保険事務、コールセンターの統括業務を経験。保険業界での経験は約20年にわたる。ドーナツの「保険をやさしく、わかりやすく」多くの読者に伝えたい想いに共感しドーナツ・マガジンにて執筆を開始。

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