がん保険

意外と知られていない?がん保険の歴史について

がん保険は、日本においては医療保険に次ぐ人気の保険です。しかし現在のがん保険と、販売当初のがん保険の保障内容は全く異なるもで、医療技術や治療環境の変化に合わせて保障内容を変えて販売されてきました。

そこで今回は、がん保険の歴史や日本で普及した理由、必要性について解説していきます。

がん保険とは

がん保険とは、がんと診断された場合や、がんによる入院・手術・専門治療を受けた場合に保険金や給付金を受け取れる保険のことです。

日本に行けるがん保険の世帯加入率は、62.8%と半分以上の世帯ががん保険に加入しています。※出典:生命保険文化センター「平成30年 生命保険に関する実態調査」

しかしがん保険は世界的に見ると一般的な保険ではありません。主に加入しているのは日本や韓国などアジア圏内の人です。

実際に、アフラックの売り上げの8割は日本支社の売り上げといわれています。

日本におけるがん保険の歴史

ここでは、日本でどのようにがん保険が普及していったのかについて詳しく解説していきます。

初期は入院給付金が主な保障

日本におけるがん保険は、1974年からアフラックによって販売が開始されました。アフラックの創業者であるエイモス兄弟は、自分自身の父親ががんで亡くなったのをきっかけに、がん保険事業に特化していった経緯があります。

がん保険が発売された当時のがん治療は、ほとんどが外科手術によるものでした。そのため保障内容も、入院給付金や在宅療養給付金といったものがメインで、現在のように抗がん剤治療や放射線治療の保障はありません。

また、死亡保障が付いているがん保険も販売されており、現在のがん保険とはほとんど別物といっても良い保障内容でした。

診断一時金や治療給付金が保障に加わる

時代は流れ、手術療法に加えて抗がん剤治療や放射線治療といったいわゆる3大治療が主流になると、がんの5年生存率が上昇し外来に通院しながらがんを治療する人も増えました。

がん保険についても、悪性新生物と診断された場合にまとまった保険金が支払われる「診断一時金」や通院をした場合の「通院給付金」を備えたものを発売。

2000年ごろになると、放射線治療や抗がん剤治療などのがん専門治療を受けた場合に給付金が支払われる「治療給付金」や、上皮内新生物も保障の対象となる特約も取り扱われ始めました。

また、2003年には、陽子線治療や重粒子線治療といった粒子線治療の実績が認められ、先進医療として承認されました。

陽子線治療や重粒子線治療は、200〜300万円程度の高額な技術料を全て自己負担しなければなりません。そこで、高額な先進医療にかかる費用を保障する、先進医療保障特約もがん保険に付帯できるようになりました。

がん治療をするための総合的なサポートサービスへ

その後がん治療は、がんに立ち向かう人の生活の質を高めるために、がんと診断されたときから患者と家族の苦痛を和らげる緩和ケアが行われるようになりました。

また、働きながらがんと闘う人もさらに増えたことから、企業においても休暇制度や勤務体系の整備が進みます。

そしてがん保険の保障内容も、以下のように長期にわたる治療や、患者を支えるサービスが展開されています。

診断給付金は再発時でも複数回支払われるようになっただけでなく上皮内新生物も悪性新生物と同額の保険金が支払われるようになった
「セカンドオピニオンサービス」や「健康相談サービス」などのサポートサービスが付帯できるものが増えた

このようにがん保険は、名前は変わらないまま治療環境に合わせて保障内容が変化した時代に最適化されてきた保険なのです。

がん保険などはじめとする「第三分野」の販売に関する規制と緩和、自由化

保険は、以下のように種類によって分野が分かれています。

第一分野:生命保険(死亡保険、積立保険)
第二分野:損害保険(火災保険、自動車保険)
第三分野:医療保険、がん保険、介護保険等

1996年に規制緩和により、生命保険会社と損害保険会社は、それぞれ互いの分野の子会社の設立が認められました。

そして、2001年に生保会社、損保会社、損保会社の生保子会社に第3分野の保険の取り扱いが認められ、現在では多くの保険会社ががん保険を取り扱っています。

改めて考えるがん保険の必要性

最後に、がん保険が本当に必要なものかどうか考えてみましょう。

がんは依然として高額な治療費や収入の低下が心配な病気

がんの治療は日進月歩で進化していますが、治療に高額な費用がかかる病気には変わりありません。

日本の公的医療保険制度は優れており、そもそも公的医療保険制度のないアメリカと比較すると、がん保険に加入せずとも治療による経済的な負担はある程度緩和されます。

がん治療においても健康保険の3割負担や高額療養費を利用できるため、医療費の自己負担は軽減されます。しかし自己負担がゼロ円にはならないため、治療期間が長引くと自己負担額が膨れ上がるだけでなく、長期間にわたって収入が低下する可能性もあるのです。

会社員や公務員は、病気やケガで4日以上休職した場合、傷病手当金を受給できるため、ある程度の収入低下は防止可能です。しかし働いていたころの給与を全額カバーするものではなく、受給できる期間が限られています。

また、がん治療においては、国内未承認の新薬を用いる場合は自由診療となり、健康保険適用の治療も含めて医療費は全額自己負担です。患者申出制度を利用すると、健康保険制度適用の治療は3割負担に戻りますが、対象外の治療は全額自己負担しなければなりません。

そして陽子線治療や重粒子線治療のような先進医療を受けた場合も、数百万円単位の技術料は全額自己負担となります。

公的医療保険があるため、がん保険に加入していなくても貯金で治療できる場合もあるでしょう。一方でお金がないことで治療の選択肢が狭まる可能性もあります。

2020年時点で販売されているがん保険は、治療期間が長期にわたった場合の保障や先進医療を受けた場合の保障などを付加でき、高額な費用負担や収入の低下に備えられます。

がんに罹患する確率は、高齢者の方が高いですが、若い人も決してゼロではありません。実際に30歳の人が10年後までにがんにかかる確率は、男性0.6%、女性1.0%です。※出典:国立がん研究センター「最新がん統計」

自分ががんになった場合に、自分や家族の生活がどうなるか、貯金で対処できるのか、も含めて検討することが大切です。

医療保険とがん保険はどちらを選ぶべき?

医療保険は、がんだけに限らず幅広い病気やケガを保障してくれる保険です。そのため、がんに限らずさまざまな病気に備えたい場合は、医療保険の方が良いと考えられます。

また、医療保険は、特約を付加することで、がんの治療に対しても手厚く備えることが可能です。ただし医療保険でがんに備えるには、以下の2点に注意しましょう。

医療保険を解約するとがん特約も解約となる
保険料は医療保険の方が割高

もちろん医療保険とがん保険の両方に加入するのも一つの方法です。しかし、保障を手厚くしすぎると保険料が高額になり、現在の生活を圧迫する要因にもなるため、慎重に検討してみてください。

まとめ

がん保険に加入することで、がん治療にかかる金銭面での不安を大きく軽減できるでしょう。しかし日本には、世界でも有数の公的医療保険制度があるため、がん保険が全員にとって必要な保険とは限りません。

仮に自分にがん保険が合っているかどうか判断できない時は、保険の専門家やファイナンシャルプランナーに相談することで、自分が納得する方法が見つかる可能性があります。

メディケア生命 新メディフットエース
  • この記事を書いた人

品木 彰

ファイナンシャルプランナー、FP技能士2級、保険・金融ライター。国公立大学卒業後、明治安田生命保険相互会社に新卒入社。法人営業として官公庁向けの団体保険・個人営業を担当。チームリーダーや管理職候補など7年半勤務。その後、人材会社に転じ多くの転職をサポート。現在は、保険、税金、貯蓄術、不動産など幅広いジャンルの記事を執筆するファイナンシャルプランナー。

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