がん保険

がんゲノム医療とは?【FP監修】

がんの治療法は飛躍的に進歩を遂げています。本記事ではがんゲノム医療についてわかりやすくご紹介いたします。

いま注目の治療法

がんの治療法は驚くべき進歩を遂げています。

ほんの数滴の血液で早期にがんを発見できる技術も、実用化を目指して開発中だとか。

最先端技術を駆使した研究は、ますます治療の可能性を広げてくれそうです。

なかでもここ数年、注目を集めているのが「がんゲノム医療」です。

厚生労働省もがんゲノム医療の推進に力を入れており、2018年4月に全国11ヶ所の施設を中核拠点病院に指定しました。

さらに30ヶ所を加え、40施設で体制を整える予定です。

※2021年3月現在のがんゲノム医療病院に関する体制は以下の通りです。

がんゲノム医療中核拠点病院  12医療機関
がんゲノム医療拠点病院    33医療機関
がんゲノム医療連携病院    180医療機関

がん治療の新たなる旗手として、大いに期待されていることがうかがえます。

そもそも、がんとゲノムって、どういうつながりがあるのでしょう。

人間が持つ細胞はおよそ37兆個と言われ、個々の細胞の中には遺伝子を乗せた染色体があり、その中に遺伝子と遺伝子情報があります。

ゲノムとは

ゲノムとは、染色体内のすべての遺伝子と遺伝情報のことです。

このゲノムに変化が生じて遺伝子が正常に働くなり、その結果引き起こされた病気ががんです。

では、がんゲノム医療とはどんな治療で、どこが画期的なのでしょうか。

遺伝子レベルで解析を行う

がんの治療において、検査はたいへん重要な意味を持ちます。

がんの状態を把握してこそ、的確な治療が行えるからです。

そのため、治療に入る前の検査に長い時間がかかるときもあります。

がんゲノム医療では、こうした検査を遺伝子レベルまで掘り下げます。

これを「遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)」といいます。

まず、患者の身体からがん細胞を取り出し、状態をチェックします。

それから、次世代シークエンサーという解析装置を使い、がんに関わる数十から数百の遺伝子を解析します。

どの遺伝子に異常が起きているかを調べるのです。

そこで見つかった変異に対して最も効果的な治療薬を、患者に投与していきます。

ひとりひとりの症状や体質に合わせたオーダーメイドの治療が可能になるわけです。

がんゲノム医療とは

がんゲノム医療とは、がん患者の遺伝子を検査することでどの遺伝子に異常が起きているかを調べ、遺伝子の個性に合わせたオーダーメイドの治療を行うこと

抗がん剤は薬が合う合わないでつらい思いをする人も多いものですが、がんゲノム医療なら副作用の負担も軽減できると見られています。

ちなみに2019年7月現在、一部が保険診療や先進医療で行われており、研究開発も活発にすすめられています。

臓器別の治療から遺伝子の異常別へ

がんゲノム医療は、治療のあり方を大きく変えるかもしれません。

一般的に、がんは臓器ごとに分類され、治療も臓器別に行います。

ところが、遺伝子レベルの検査データが集まるにつれ、同じ臓器が同じ変異を起こすとは限らないことがわかってきました。

たとえば、乳がんにかかったAさんとBさん。

がんを発症した部位は同じでも、遺伝子の変異はまったく異なるケースがあります。

そうなると、2人のがんは別のタイプだと考えざるを得ません。

あるいは、肺がんの患者を検査したら、遺伝子は胃がんや乳がんによく見られる変異を起こしていたなどという場合もあります。

こんなときは肺がんの薬ではなく、乳がんや胃がんなどに用いる薬のほうが効くことも。

つまり、臓器というくくりを超え、遺伝子の変異別に治療を行ったほうが効果が高いのではないかと考えられるようになったのです。

ただ、これがそう簡単にはいきません。

がんが臓器別に分類されているように、多くの治療薬もまた臓器別で認可を受けています。ここで問題が生じます。

胃がんの薬として認可された薬は、胃がんの治療に使うのであれば保険適用になります。

ですが、肺がんに使おうとすると、保険適用から外れてしまうことがあるのです。

同じ薬であるにも関わらず、胃がんなら自己負担は3割、肺がんなら全額が自己負担です。

1回の治療に何十万円とかかる薬もありますから、患者の負担は相当に重くなります。

まだ課題も多い

もっとも、がんゲノム医療は万能ではありません。

検査を受けた人すべてに、最適な治療薬が見つかるわけではないからです。

治療に役立つであろう遺伝子の異常が発見されるのは、全体の約半数と言われています。

そのうち、使える治療薬が見つかる人は、およそ3分の1に減ります。

ココに注意

たとえ薬が見つかったとしても保険適用外であるなどの理由で断念するケースもあり、実際に治療までこぎつける人はわずか10~20%程度にとどまっているのが現状です。

※出典:国立がん研究センター 中央病院 HP Q17

また、がんは早期発見が大事だといわれます。

がん保険ゲノム医療を使って早い段階で遺伝子異常を見つけ出し、はじめからいちばん効く薬を使えば、治る確率も格段に上がるでしょう。

目下のところ、がんゲノム医療を受けられるのは標準治療(手術・薬物治療・放射線治療)が終わり、ほかに手立てがない患者に限られています。

早期発見のためではなく、最後の手段として使われているのです。

がん保険ゲノム医療の一部はすでに先進医療に認定されていますが、

ココがポイント


なお、保険適用とならない遺伝子パネル検査の費用は自費診療として、40万円から100万円弱と設定されているところが多いようです。

そのうえ、最適な治療薬が保険適用外だったら、治療を躊躇してしまうでしょう。

現在、一部の遺伝子パネル検査については、血液のがんを除いた固形がんを対象として2019年6月から保険適用が認められています。

その他、全身状態及び臓器機能などから、遺伝子パネル検査の後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した場合にも保険適用となります。

参考までに、遺伝子パネル検査の医療費は国立がん研究センター中央病院のHPによると下記の通りとなっています。

  • 保険診療にかかる検査のみの医療費 56万円
  • 患者負担割合が1割の場合は5万6千円
  • 患者負担割合が2割の場合は11万2千円
  • 患者負担割合が3割の場合は16万8千円
  • その他、検体の準備などの費用が追加で必要

※出典:国立がん研究センター 中央病院 HP Q12

ひとりでも多くの患者が救われるよう、遺伝子パネル検査の普及が待ち望まれています。

がんゲノム医療は注目を集める治療法のひとつです。

遺伝子の異常を解析することによって、ひとりひとりに最適な治療薬を見つけ出します。

がんゲノム医療は厚生労働省も後押ししています。

全国に11ヶ所の中核拠点病院を指定したほか、徐々に保険適用が増えていく見通しです。

まとめ

ポイント

  • がんゲノム医療とは、がん患者のがん遺伝子パネル検査を実施することでどの遺伝子に異常が起きているかを調べ、遺伝子の個性に合わせたオーダーメイドの治療を行うこと
  • がんゲノム医療を行うための遺伝子検査を「遺伝子パネル検査」という
  • 保険診療適用の遺伝子パネル検査のみの医療費 56万円、自己負担額は自己負担割合に基づく
  • 保険診療適用外の遺伝子パネル検査の医療費は40万円〜100万円弱、全額自己負担となる

本記事ではがんゲノム医療についてご紹介いたしました。

がんゲノム医療を受けたいと考えた場合に、がん保険の診断給付金等を活用できると良いのではないでしょうか。

がんゲノム医療について、さらに詳しく知りたい方は、2020年12月1日に国立研究開発法人国立がん研究センターが公開したウェブサイトをご参照ください。

  • この記事を書いた人

矢野 康介

ファイナンシャルプランナー、トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)。大学卒業後、日本生命保険相互会社に新卒入社。法人営業として、一部上場の建築会社及び製薬会社を担当。その後、外資系生命保険会社にて保険事務、コールセンターの統括業務を経験。保険業界での経験は約20年にわたる。ドーナツの「保険をやさしく、わかりやすく」多くの読者に伝えたい想いに共感しドーナツ・マガジンにて執筆を開始。

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