個人年金保険

個人年金保険

「ゆとりある老後の資金を準備する」
個人年金保険

個人年金保険って? about

現在の日本人の平均寿命は男性 81.09歳、女性87.26歳(厚生労働省、平成29年簡易生命表の概況)となっているそうです。公的年金は原則65歳から受け取ることができるのですが、男性65歳時点の平均余命は約20年、女性約24年となっています。このことから年金生活の時間が長いことがわかります。公的年金から老後資金としていくら受け取ることができるのか、また公的年金のみで老後資金は足りるのでしょうか?公的年金と自助努力である個人年金保険について見ていきましょう。

目次

監修者プロフィール

吹田 朝子(すいた ともこ)

吹田 朝子

(すいた ともこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士、
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

ぜにわらい協会会長 一般社団法人円流塾 代表理事。人とお金の理想的な関係を追究するお金のメンタリスト®。1989年一橋大学卒業後、金融機関にて企画調査・主計部門を経て1994年より独立。
顧客相談3300世帯以上。TV出演・新聞連載など多数。結婚・妊娠・出産・子育てや転職・住宅購入、そして親の介護など、様々な人生イベントを含み、夫婦の稼ぎ方からお金の使い方、受け取り方、増やし方、そして家族のために次世代まで幸せが続くお金の使い道を設計することを生業としている。著書に「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」(スタンダーズ社)、「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」(C&R研究所)など多数。

長尾 義弘(ながお よしひろ)

長尾 義弘

(ながお よしひろ)

ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員、辛口保険評論家

NEO企画代表。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。
著書に「コワ~い保険の話」(宝島社)、「こんな保険には入るな!」(廣済堂出版)「商品名で明かす今いちばん得する保険選び」「お金に困らなくなる黄金の法則」「保険払いすぎ見直しBOOK」「最新版 保険はこの5つから選びなさい」「老後資金は貯めるな!」(河出書房新社)、「保険ぎらいは本当は正しい」(SBクリエイティブ)。共著に「金持ち定年、貧乏定年」(実務教育出版)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ「よい保険・悪い保険」など多数。

1. 個人年金保険ってどんな保険?

(1)個人年金保険とは「預貯金とは別に、自分もしくは配偶者のために老後資金等を準備するための保険」

個人年金保険

一般的に、老後資金は国からの「公的年金」、会社員であれば会社からの「退職金」「企業年金」等、自営業者であれば自助努力の「預貯金」、民間保険会社の提供する「個人年金保険」等を利用して準備します。
個人年金(個人年金保険)は、運営主体は民間の保険会社です。保険料を払い込み、所定の年齢から契約時に定めた期間、一定額の年金を受給することになります。貯蓄型の保険のため、主に老後資金等を準備することを目的として、その他、教育資金や住宅資金の準備のために利用されることもあります。

個人年金保険の主な特徴

個人年金保険とは「定年退職等を迎える前に保険料を払い、満期時に一定額の年金を一定期間受け取る貯蓄型の保険」

円建て以外に外貨建て、年金受取開始前に運用で年金額が変動する変額個人年金保険等、様々なタイプがあります。
伝統的な特徴として、年金受取開始前に契約者(被保険者)に万一のことがあった際には、払込保険料相当額が死亡給付金受取人に支払われる、所定の条件を満たし税制適格年金特約を付与した場合は、生命保険料控除制度の年金保険料控除を受けることができるといった特徴があります。

よくある契約パターンと注意点

個人年金保険の契約者および被保険者は同一であることが多く、満期年金受取人は契約者、年金受取開始前の被保険者死亡時の死亡給付金受取人は相続人(契約者の配偶者・子ども等)とするのが一般的です。
中には、契約者と被保険者が異なり、満期年金受取人が契約者もしくは被保険者、年金受取開始前の被保険者死亡時の死亡給付金受取人は契約者となるパターンもあります。この場合、満期時および死亡給付金の税金の扱いが異なってくるため注意が必要です。
年金の受取期間中に年金受取人が死亡した場合、確定年金や保証期間付年金などで保証された期間中は、遺族に年金が支払われます。

(2)個人年金保険の種類はバラエティに富んでいる

個人年金保険は様々な観点から種類を分けることができます。

積立金の運用勘定による種類

①個人年金保険
一般的に、契約時に定められた利率(予定利率)等をもとに基本年金額を算出し、据置期間中、予定利率を下回らないよう安全性を重視し「一般勘定」で積立金を運用しています。通常、個人年金保険というときは、この「一般勘定」で運用されるものを指すことが多くなります。

②変額個人年金保険
保険料のうち、積立部分を「一般勘定」とは別に管理し、国内外の株式や債券等で構成された「特別勘定」で運用します。その運用実績によって最終的な積立金額(年金原資額)が確定するため年金額が変動します。運用実績がよければ将来の年金額が増える可能性がありますが、同時に運用実績の悪化により払込んだ保険料を下回る元本割れの運用リスクがある商品です。

  • ※一般勘定と特別勘定とは・・・「一般勘定」とは、主に保険会社が国内外の債券で運用し、予定利率を出して給付内容を約束する形で管理しているもの。一方「特別勘定」とは、別の勘定で、国内外の株式や債券、不動産など幅広く投資信託のように運用し、運用成果の約束はせずに管理しているもの。
年金受取期間による種類

主な種類は4つです。

①終身年金
年金受取人(被保険者)が死亡するまで年金を受け取ることができます。年金受取人の死亡時は遺族は年金を受け取ることはできません。そのため保証期間をつけることが一般的です。保証期間中に年金受取人が死亡すると、残りの保証期間の年数分の年金額(年金現価)を遺族が年金または一時金受け取ることができます。保証期間は、10年が一般的です。

②確定年金
契約時に定めた一定期間(5年・10年・15年など)、年金を受け取ることができます。万が一、年金受取期間中に年金受取人が死亡した場合は、残りの期間の年数分の年金額(年金現価)を遺族が年金または一時金で受け取ることができます。

③夫婦年金
夫婦のどちらかが生きている限り年金を受け取ることができます。終身年金の仲間です。

④有期年金
契約時に定めた年金受取期間中、年金受取人(被保険者)が生存している限り年金を受け取ることができます。年金受取人の死亡時は遺族は年金を受け取ることはできません。そのため保証期間をつけることが一般的です。

その他、為替や市場金利に係る種類

①外貨建て個人年金保険
米ドルや豪ドル等の外貨で運用を行う個人年金保険です。保険料は一時払が一般的です。円入金特約を付加し円で保険料を払込し外貨で運用するもの、外貨で保険料を払込し、年金受取時に外貨で受け取る、もしくは円支払特約を付加し円貨で受け取るといったことも可能です。
国内の金利と比べ高めの海外の金利で予定利率(積立利率)を設定しているため、円建ての個人年金よりも利回りが良いと言えます。ただし、外貨と円貨の交換の際の為替差による為替リスクがあります。為替リスクにより年金受取時に円換算をした場合、円での保険料払込総額の元本割れの可能性があります。外貨のまま保有する分には元本割れのリスクはありません。投資性の強い商品です。

②市場価格調整(MVA:Market Value Adjustment)を利用した個人年金保険
「市場価格調整」により据置期間中の解約時に解約返戻金が変動するしくみがくみこまれた個人年金保険です。
「市場価格調整」とは、契約時の予定利率と解約時の市場金利を比較して、予定利率より金利が上昇している場合には解約返戻金が減少し、予定利率より解約時の市場金利が下降している場合は解約返戻金が増加するというものです。市場金利の変動で解約返戻金が払込保険料総額を下回る元本割れのリスクがあるため注意が必要です。満期まで契約を継続するのであれば元本割れのリスクはありません。

(3)保障期間と保証期間について

個人年金保険は満期後の年金受取が主な目的となる保険のため、保障期間という表現より据置期間と表現することが一般的です。保険料の払込方法によっても異なるため、必ずしも、保障期間(据置期間)=保険料払込期間とはならないことに注意してください。また、保障期間(据置期間)中の死亡保障額は、払込保険料相当額であることが一般的です。

個人年金保険の年金受取方法によっては保証期間をつけることができるものがあります。 保証期間をつけることで、年金受取開始から定められた期間(保証期間)内に年金受取人(被保険者)が死亡した場合でも、残りの年数(保証期間の年数)の年金額(年金現価)を遺族が受け取ることができるようになります。

保証期間は5年、10年、15年等で、10年が一般的です。

保証期間をつけることができるのは、終身年金と有期年金、夫婦年金です。

①保証期間付終身年金
保証期間中は生死に関係なく年金を受け取ることができ、保証期間中に被保険者が死亡した場合、遺族が年金を受け取ることができます。保証期間経過後は生存している限り一生涯、年金を受け取ることができます。

②保証期間付有期年金
保証期間中は生死に関係なく年金を受け取ることができ、保証期間中に被保険者が死亡した場合、遺族が年金を受け取ることができます。保証期間経過後は所定の年金受取期間中に生存している限り、年金を受け取ることができます。

③保証期間付夫婦年金
保証期間中は年金受取人(夫もしくは妻、およびその両方)の生死に関係なく、年金を受け取ることができます。万が一保証期間中に夫婦ともに亡くなった場合は、残りの保証期間分の年金を遺族が受け取ることができます。保証期間経過後は夫婦のどちらかが生存している限り年金を受け取ることができる終身年金の仲間です。

(4)個人年金保険の保険料および保険料の払込期間について

個人年金保険の保険料は安いの?高いの?

個人年金保険の保険料は貯蓄性の機能があるため、死亡保険に比べて高いイメージがありますが、実際はどうでしょうか。

生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年度)によると、普通死亡保険の民間保険会社1社あたりの世帯年間払込保険料は約18.3万円、月額約1.5万円。個人年金保険加入の世帯年間払込保険料の平均額は20.1万円、月額約1.7万円であるため、比較するとそこまで高額ではないようです。
最も多いのは12万円以上18万円未満という世帯で月額1万円前後となります。個人年金保険の一時払保険料の平均額は、約727万円となっています。

こういったデータも参考にしながら、個人年金保険の保険料の設定は、払込が終了した後の年金額を考慮し設定していくようにしましょう。
年間の保険料を安く抑えるために、若いうちに加入をしておくこともひとつの方法ですが、保険料を一時払するといった方法もあります。若いうちは子育て等で他にも資金が入用となることも多いため、バランスを考えて慎重に検討しましょう。

保険料の払込期間は?

個人年金保険は老後の生活資金を確保することが最大の目的なので、年金受取を開始したい年齢から逆算して保険料払込期間(据置期間)を設定することになります。

先ほどと同様に生命保険文化センターの調査によると個人年金保険加入の世帯主の年金受取開始年齢は60歳から65歳としている世帯が61%となっており、公的年金受給開始のつなぎとして活用している人が多いようです。

そのため、若い年齢で契約した場合は保険料の払込期間が長くなります。契約時と据置期間中の契約者自身の収支状況、または世間一般の経済状況が大きく変化し、保険料の負担が困難になる場合も予想されるため、長い期間に無理なく払える金額の保険料にすることも大事です。

(5)生命保険料控除制度と税制適格特約、解約時の税金について

生命保険料控除制度とは

生命保険料控除制度とは所得控除のひとつです。
その年の1月1日から12月31日までの間に払い込んだ生命保険料累計額に応じて、一定の金額が契約者(保険料負担者)のその年の所得から差し引かれる制度で、税率を掛ける前の所得が低くなることで所得税、住民税の負担が軽減されます。

会社員などは会社で年末調整をすることで控除を受けることができます。自営業であれば翌年の確定申告(2月15日から3月15日まで)の際に申告を行うことで控除を受けることができます。

平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なりますが、ここでは新制度の内容で説明します。

生命保険料控除には、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3種類があります。個人年金保険で利用できるのは一般生命保険料控除もしくは個人年金保険料控除のどちらかになります。

個人年金保険料控除と税制適格特約

個人年金保険料控除を利用するためには「税制適格特約」の付加が必要です。 「税制適格特約」とは、一体どんな特約なのでしょうか? 税制適格特約とは契約時に付加もしくは中途付加出来る特約です。

税制適格特約を付加するためには、

① 年金受取人は契約者(保険料負担者)、又はその配偶者となっている契約であること。

② 年金受取人は被保険者であること。

③ 満期(年金開始日)まで保障期間(保険払込期間)が10年以上あり、保険料を定期に支払う契約であること。(一時払は対象外)

④ 満期(年金開始日)時に、年金受取人の年齢が原則満60歳以上であり、年金受取方法が10年以上の確定年金、有期年金又は終身年金であること。

  • (注) 被保険者等の重度の障害を原因として年金受取を開始する10年以上の定期年金又は終身年金であるものも対象となります。以上の条件を全て満たす必要があります。中途付加する場合も同様には、上記の条件を全て満たすことが必要です。

また途中で契約内容の変更を行い、上記の条件のどれか1つでも満たせなくなった場合、税制適格年金特約の適用対象外となるためご注意ください。

また、個人年金保険料控除の対象外となる個人年金保険の契約は、一般生命保険料控除の対象となります。

解約について

もし個人年金保険を保険期間の途中で解約する場合は、元本割れを起こしてしまう可能性があることを覚えておきましょう。個人年金保険は貯蓄性の高い保険ですが、契約して数年で解約した場合、支払った保険料の総額よりも解約返戻金額が下回る(いわゆる“元本割れ”)を引き起こしますので、個人年金保険を解約する際には注意が必要です。

個人年金保険で損をしないためには、必ず途中で解約することのないように無理をしない保険料の予算を設定して加入することが大切です。

生命保険の契約は可能な限り解約しないことが前提で契約されますが、環境の変化や家計の変化などで、どうしてもという時もあるでしょう。その場合には、生命保険会社所定の手続きを踏むことで解約が可能です。生命保険会社ごとに手続き方法は異なりますので、詳しくはご契約の生命保険会社へご確認ください。

保険料の負担が重くなったら

もし実際に保険料の支払いが困難になってしまった場合は、「払済保険」への変更を利用する方法があります。払済保険とは保険料の払込だけを中止し、今まで蓄積された解約返戻金相当額をもとに保障は続けるというもので、個人年金保険だけでなく学資保険、終身保険などにも利用できる制度です。

払済保険の手続きをすることで、払い込む保険料総額が少なくなる分、保障期間満了後に受け取る満期金が再計算されて契約当初よりも少なくなりますが、解約して解約返戻金を受け取るよりは多く受け取ることができます。ただし、一度、払済保険の手続きをしてしまうと元には戻せませんので注意が必要です。

現在は予定利率が0.25%前後と非常に低い水準にあります。そのため予定利率が高い時に契約した個人年金保険を解約・払済にすることは、大変有利な条件をみすみす手放すことになります。手続きしてから後悔しても、この低金利時代では二度とその条件で契約することは出来ない可能性が高いため注意しましょう。

予定利率の目安は下記の表の通りとなります。

契約年 標準利率(平準式)
2017年 0.25%
2013年 1.00%
2001年 1.50%
1999年 2.00%
1996年 2.75%
1994年 3.75%
1993年 4.75%
まとまった額の資金が必要な場合には

それでは、解約する前に検討すべき具体的事項について考えて行きましょう。
契約者貸付の利用を検討してみましょう。
契約者貸付とは、借りる時点での解約返戻金の一定範囲内でお金を借りられる制度のことです。貸付利率は、契約時の予定利率の+0.25%から+2.00%が一般的な利率です。

契約者貸付を利用する場合は

① まず、この制度を利用可能か?

② 貸付利用時の時点で、いくら借りれるのか?

③ 貸付利率は、何%なのか?

以上の点を保険会社へ確認した上で、返済が可能かどうかをよく検討しましょう。
というのも、安易に契約者貸付を受けてしまうことで、借りたお金の返済を行わないと、利息が元金に繰り入れられて、元利がどんどん膨らんでいくことになり注意が必要だからです。

解約返戻金と税務について

個人年金保険を解約するときに受け取る解約返戻金は、一時所得の対象となる場合があります。一時所得は支払った保険料総額よりも受け取った解約返戻金が多い場合に税金がかかりますが、契約から数年での解約なら支払った保険料の総額よりも解約返戻金のほうが少ないので税金がかかることはありません。

もし返戻率の高い商品や契約からある程度年数が経っていて支払った保険料の総額よりも解約返戻金が上回った場合でも、その金額が一時所得の特別控除50万円以内であれば税金がかかることはありません。(2019年4月時点)

【(受取金額(満期金や祝い金)-支払保険料総額-50万円(特別控除))×1/2】=課税対象額

個人年金保険を中途解約した場合、返戻率が100%を超えることは滅多にありません。しかし、解約返戻金が払込保険料総額を上回り、かつ、個人年金保険を契約後5年以内に解約した場合には、金融類似商品と見なされ、源泉徴収課税がされる場合があります金融類似商品と見なされる恐れがあるものは、一時払いで、有期年金や確定年金で受け取るタイプの個人年金を、5年以内で解約する場合です。これに当てはまらなければ金融類似商品とは見なされません。保険料が月払いや年払いの場合、また、一時払いであっても終身年金である場合は該当しません。
金融類似商品と見なされた場合は、税金は利子所得同様に20%(2013年1月1日~2037年12月31日の間は復興特別所得税が上乗せされ、20.315%)となります。保険会社から受け取る前に、源泉分離課税で徴収されます。銀行などに預けていた預貯金の利子が既に税金を差し引かれているのと同じ仕組みです。

(6)個人年金保険のメリット・デメリット

個人年金保険を検討する際には、メリットとデメリットについてしっかりと確認しておきましょう。以下に個人年金保険に加入するメリットとデメリットについてまとめますので確認しておきましょう。

個人年金保険のメリット
  • ①預貯金よりも効率的にお金を貯めることができる
  • ②強制的に保険料が引き落とされるので預貯金が苦手な人でもお金を貯めることができる
  • ③契約者(被保険者)に保障期間中に万が一のことがあっても、払込保険料相当額を死亡給付金として受け取ることができる
  • ④年金受取開始中に年金受取人(被保険者)に万が一のことがあった場合、保証期間内であれば残りの年数の年金額(年金現価)を遺族が年金もしくは一括で受け取ることができる
  • ⑤死亡給付金を受け取った場合、税金が優遇される
  • ⑥一時所得の特別控除50万円以内の利益であれば税金がかからない
  • ⑦生命保険料控除(一般生命保険料控除もしくは個人年金保険料控除)が受けられる
個人年金保険のデメリット
  • ①保険期間の途中で早期解約をすると元本割れを起こす可能性が高い
  • ②特約を多く付加すれば返戻率を下げる可能性がある
  • ③物価が上昇傾向にある場合、将来のインフレリスクへの対応が難しい

個人年金保険のメリット・デメリットを一言でいえば、預貯金よりも効率的にかつ強制的にお金を貯めることができるが、自由にお金を引き出したりすることは難しいということです。

2. 保険の必要性について

(1)公的年金制度(国民年金と厚生年金)と生活必要額について

まずは、老後の生活資金が一体いくら必要なのでしょうか?
そして、老後のために準備しておく資金の必要性・必要額から見ていきましょう。

金融広報中央委員会が平成29年に行ったアンケートによると、老後に必要な生活費の予想額がひと月当たり約27万円となっております。これは全世代の平均額であり、60代・70代のいわゆるシニア世代は、ひと月当たりの生活費は最低28万円は必要と回答しています。
また、総務省の家計調査によると、シニア世代を含む2人以上の世帯の1ヶ月の平均支出は約25万円という結果が出ています。この金額には住居費は含まれていないため、家賃やマンションの管理費などは、別途考慮する必要があります。

  国民年金 厚生年金
  第1号被保険者 第3号被保険者 第2号被保険者
国民年金の
被保険者の種類
  • 自営業者とその世帯の専業主婦、学生など
  • 20歳以上60歳未満の国内在住者
<例>
個人商店 経営者 フリーランス
※第2号被保険者の世帯で扶養される20歳以上の学生も!
  • 第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者
<例>
会社員に扶養される専業主婦(夫)
※扶養控除内で働く主婦(夫)も!
  • 会社員、公務員、教員など
<例>
会社員
※国民年金も同時に加入
老後に受け取る
年金の種類
老齢基礎年金 老齢基礎年金
+ 老齢厚生年金
年金を受け取る条件 10年以上の受給資格期間 老齢基礎年金の受給資格(10年以上)+厚生年金加入1ヶ月以上
保険料の金額 全員一律で同じ金額
2018年度 月16,340円
2019年度 月16,410円
免除・後納制度あり
0円 月給・賞与額の9.15%
勤務先が同額負担
国民年金の保険料含む
※公務員は2019年8月まで8.993%、以降9.15%
※私学教員は上記と保険料が異なる
受取開始の年齢 原則65歳から一生涯(死亡するまで)
60歳から繰り上げ
70歳まで繰り下げ
も可能
  一部の年齢・生年月日に応じて段階的に61歳から65歳へと引き上げられている
その他 任意加入
付加年金
国民年金基金で年金額を増やすことも可能
加給年金(配偶者や子どもなどの条件あり)

日本の年金制度は、3階建てに例えられることがありますが、国民年金は誰もが加入する必然性がある1階部分、2階部分として厚生年金、3階部分として確定拠出年金などと考えることが出来ます。

生涯自営業で一度も会社勤めが無い方は、国民年金からのみ、年金を受け取ることが出来ます。40年間に渡って満額の保険料を納めた方は、月額にして約6万5千円受け取ることが出来ます(2019年4月時点の法制度より)。
一方、厚生年金では、働いていた現役時代の給与の額によって、実際の受取額が変わって来ます。厚生労働省が示すモデルケース(平均的な収入で、40年間就業し配偶者が全期間無職であった家庭)では、国民年金・厚生年金から支給される年金の合計額は、月額にして約22万円となっています。

上記で触れたように、老後に必要な生活費として、アンケート調査上は月額27万円ほどというデータがあります。しかし、平均的なサラリーマンが受け取ることが出来る公的年金は、現状では約22万円です。
この計算から考えると、5万円の不足が出てしまいます。その不足部分を公的年金以外で準備する必要があるとすれば、65歳まで働いたとして、5万円×12か月×65歳から平均寿命までの年数が、老後のために準備しておく資金の目安ということになります。
この老後の必要資金を準備するために、個人年金保険を活用すべきなのです。

(2)老後資金準備に向けた活用法、より応用を利かせた活用法

会社員であれば年金の3階建て部分、自営業であれば年金の2階建部分を、様々な方法で準備することが可能です。個人年金保険以外の方法をみていきましょう。

財形年金貯蓄とは

財形貯蓄精度のひとつであり、勤労者の計画的な財産形成をすることで、特に老後の生活安定を主な目的とするものです。

  • 1人1契約であること
  • 契約締結時に55歳未満の勤労者であること
  • 事業主を通して、給与から天引きして預入れすること
  • 積立期間は5年以上であること
  • 年金の支払い開始までに据置期間を置く場合は、その期間が5年以内であること
  • 年金給付は60歳以降、5年以上にわたり定期的に受取ること

を要件として、 元本550万円までの利子等について所得税を非課税とする制度です。
財形年金貯蓄で利用できる金融商品は、会社提携の金融機関や、運用金融商品に限定されます。金利情勢によっては一般の定期預金よりも有利な金利が適用される場合があります。
年金受け取りを目的とする払い出し以外については、5年間さかのぼって、利息の20%(なお、2013年1月1日~2037年12月31日に目的以外の払い出しをした場合には復興特別所得税が上乗せされ、20.315%となります。)が課税され全額払出・解約となります。ただし、年金受け取り開始日後5年を経過した場合は、その時点から生じる利息についてのみ課税扱いになります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。加入は任意で、加入者本人が掛金を拠出し、自らが運用を指図し、掛金とその運用益との合計額をもとに60歳以降に年金を受給することができます。また、掛金、運用益、そして年金受給時に、税制上の優遇措置が講じられています。国民年金や厚生年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送るための資産形成方法のひとつです。
20歳以上60歳未満の人が利用できますが、「勤務先が企業型年金規約で個人型年金を利用できるとしていない場合」「国民年金保険料の免除を受けている場合」は対象外となります。

加入者区分 具体例 掛金限度額
第1号被保険者 自営業者とその世帯の専業主婦 月額6.8万円
(年額81.6万円)
第2号被保険者 会社に企業年金がない会社員 月額2.3万円
(年額27.6万円)
企業型確定拠出年金加入の会社員 月額2.0万円
(年額24.0万円)
確定給付企業年金だけ、もしくは確定給付企業年金と
企業型確定拠出年金加入の会社員、公務員
月額1.2万円
(年額14.4万円)
第3号被保険者 第2号被保険者の扶養配偶者(専業主婦) 月額2.3万円
(年額27.6万円)
  • (2019年4月現在の法制度より)

メリット

  • 第3号被保険者(専業主婦等)、企業年金加入者、公務員等共済加入者もiDeCoに加入できる
  • 運用結果が良ければ将来の年金額を増やすことができる
  • iDeCoから確定給付企業年金への個人別管理資産の移換が可能
  • 掛金が全額所得控除の対象
  • 運用結果の収益は非課税で再投資(課税の繰り延べ)ができる
  • 年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象

デメリット

  • 加入者の被保険者区分ごとに掛金の限度額が異なる
  • 中途脱退ができないため原則60歳になるまで解約できない
  • 運用を指図する必要がある
  • 運用リスクは自己責任となるため、元本割れリスクを常に伴う
  • 加入に任意の運営管理機関と契約する必要がある
  • 運営管理機関ごとで運用商品、サービス、口座管理手数料などが異なる
国民年金基金とは

国民年金加入者の第1号被保険者のための上乗せ年金です。
「地域型」という同一の都道府県にすむ被保険者から構成されるものと、「職能型」と同じ業種に従事する被保険者から構成されるものの2種類があります。2つ以上の基金に同時加入はできません。また、途中でやめることもできません。もし、途中で会社員になるなど第1号被保険者でなくなった場合は、今までの積立分の運用だけが継続されて将来年金として支払われ、途中の脱退一時金などはありません。

付加保険料とは

国民年金第1号被保険者ならびに任意加入被保険者は、定額保険料に付加保険料400円を上乗せして納めることで、受給する年金年額を「200円×付加保険料納付月数」分だけを増やせます。国民年金基金加入の場合は付加することができません。

(3) 年金受取開始後の税金について

年金を受け取った場合の税務処理について、見て行きましょう。契約者、被保険者、年金受取人が同一人である場合、契約者が受け取る年金は、雑所得として所得税の課税対象となります。

雑所得の金額は、

  • 総収入金額(公的年金を除く)
  • - 必要経費

で計算されます。

総収入金額は、基本年金額+増額年金+増加年金額で算出されます。そして、必要経費は、その年に支給される年金の額×払込保険料総額/年金支給総額(見込額)で算定されます。

年金支給総額は、年金の種類により、次のように計算します。

① 確定年金年金支給総額=年金金額×支給期間

② 有期年金年金支給総額(見込額)=年金金額×支給期間の年数と年金支払い日における被保険者の余命年数

③ 終身年金
年金支給総額(見込額)=年金額×年金支払い開始日における被保険者の余命年数

④ 保証期間付有期年金
年金支給総額(見込額)=年金金額×保証期間の年数と年金支払い開始日における被保険者の余命年数の長い方の年数。

3. 個人年金保険の選び方・見直し方

(1)新規に個人年金保険を検討している場合

個人年金保険に加入する年齢ですが、年齢が上がるにつれて加入の必要性は高まります。理由としては、老後が近づくにつれ、老後の備えとして力を発揮してくれる保険を優先的に選ぶ必要性があるからです。一方で若い方は、30年から40年にわたる長期契約になります。家族の状況・子どもの有無など、今後のライフプランなどが見えてきて、自分の将来を長期的に考えられるようになる頃から、個人年金を検討するのがよいでしょう。

保険料の支払い方は、大きく一時払い・年払い・月払いに分けることが出来ます。ほとんどの方が月払いを選択されていますが、資金に余裕がある方は、一時払いや年払いのように、まとめて保険料を支払うと合計の保険料も安くなります。また、給付される年金額に対する支払った保険料の総額の比率である返戻率も高いことに越したことはありません。返戻率が全てだとは言い切れませんが、最重要ポイントであることは、間違いないでしょう。見積もりサイトなどを利用して、複数の商品を比較検討して、コスパの良い商品を見付け出しましょう。

(2)見直しの場合

個人年金保険の見直しの際にも、一番注目すべきポイントは、返戻率です。返戻率とは、支払った保険料に対して、受け取ることが出来る年金の割合のことです。

  • 返戻率
  • = 年金受取総額 ÷ 払込保険料総額 × 100

個人年金保険は、お金を貯めて増やすことを目的とした商品です。そのため、お金をどう増やしていくかが最大のポイントになります。お金の増え方に直結する返戻率が大事になってきます。

既に個人年金に加入している方の見直しポイントは、保険料をできるだけ一括払い(一時払い・全期前納払い)する前提で検討していくということです。

個人年金保険は、若いうちに加入して、長い期間保険料を支払った方が返戻率は良くなります。しかし、現在加入している個人年金保険の返戻率が悪い場合には、個人年金保険を乗り換えることも有効な策と言えます。ただし、その場合、払込が終わるまでの期間が短くなってしまうために、返戻率が低くなってしまう場合があるのです。

個人年金保険の中途加入で返戻率が低くなってしまう理由は、保険料を保険会社に預けておく期間が短くなってしまうからです。保険会社は預かった保険料を、運用して利益を出し、運用益を年金に上乗せして支払っています。そのため、保険料を一時払いで支払ってしまい、保険料全額を預けておく期間を長くすることで、保険会社が保険料を運用する期間を延ばすことが出来るのです。このことによって、結果的に保険料の運用益が増え、返戻率が高くなることに繋がります。

保険を解約する際には、事前に解約返戻金の額を確認しておきましょう。解約のタイミングによっては、払い込んだ保険料総額よりも解約返戻金の額が少なくなってしまうこともあるからです。ある程度の年数が経過していれば、解約返戻金の額が、保険料払込総額より多くなっていることも多いのですが、慌てて行動して損をすることのないように、あらかじめ保険会社に解約返戻金の額を問い合わせしてから判断しましょう。加入している保険会社に問い合わせをすれば、問い合わせ時点での解約返戻金の額を教えてくれます。解約などのアクションは、やり直しがきないので、事前にしっかりと情報を得て比べる時間をとることをお勧めします。

4. 個人年金保険のチェックポイント

何のため?
  • 老後の生活資金のため
いくら必要?
  • 目的に合わせて準備すべき必要額を計算する
期間は?
  • 希望の年金受取開始年齢から計算する
誰が使う?
  • 契約者・被保険者=自分、年金受取人=自分
  • 死亡給付金受取人=あなたの相続人(主に配偶者、子など)
受取方法は?
  • 自分(被保険者)の老後を迎えた時に:年金形式か一括で受け取りたい